2007年08月16日

君の心に矢はあるか? 「すべてに射矢ガール」

 「すべてに射矢ガール」とは、2001〜2002年にかけて出版されたジャンル不詳のマンガである。作者はロクニシコージ。
Fadvedvw  このマンガのヒロイン、鳥井あすみは頭に矢が貫通している美少女。そういえば矢ガモ事件ってこの頃だったか、それにしても思い切ったキャラにしたな、などと思っていると、さらなる驚きが読者を襲う。彼女はこの矢のために、クラスから孤立し、性格も暗くねじれてしまっているのだった。
 物語は転校生の山田とあすみを軸に、ギャグマンガともラブコメともつかない立ち位置で進んでいく。

 とにかく扱いに困るマンガだ。
 まず、女の子メインの話なのに、21世紀のマンガとは信じられないくらい絵が下手。脇役だけとりあげるとデビューし損なった漫画太郎みたいだ。ところが、10コマに一回くらい異様にかわいい絵を描いてくるからあなどれない。
 それなんてエロゲ?という言葉がある。この言葉は、類型化に陥ったゲームのシチュエーションを揶揄するものであるが、それなんてエロゲ?を高校生レベルの妄想であるとするならば、このマンガは間違いなく中学生以下の妄想で成り立っている。エロ発想だけではない、電車の連結部分を使ってサーフィンとか、手すりにホウキを渡して階段を滑り降りるとか、子供じみた思いつきを平然と描いてみせるのが逆に新しい。作者は間違いなく、萌えもライトノベルも知らないに違いない。
 そして最も困るのが、このマンガは笑えないという点だ。矢が刺さっていて「お前、出オチか」といいたくなる見た目のあすみだが、作中で彼女は真剣に普通の女の子になりたがっており、悩み抜く。コンプレックスが自分だけでなく、恋人をも傷つけ、それがまた彼女を追い込むというマジ話が、バカ話の合間合間で展開し、脳天気なだけのマンガにはない味のあるヒロイン像に、あすみが成長していくのを読者は見届ける。最後まで読んで良かった、と思えるのはそのせいだ。決してストーリーが面白かったわけではないのに!
posted by Dr.K at 21:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
確かに酷いマンガですよね、荒削りだし!!でもそこがいいマンガでもあります!!全体的にはアッサリしたテイストなのにその1つ1つには深い物を感じます!!
Posted by 後藤 at 2007年12月01日 22:21
この先生、新作描かないのかな…
Posted by Dr.K at 2007年12月02日 09:00
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