恐怖マンガというのは、本来なら日陰者のジャンル。ところが、「猫目小僧」の頃(1968〜69)は時代の方がどうかしていた。「ゲゲゲの鬼太郎」「妖怪人間ベム」「どろろ」が次々にアニメ放送され、空前の妖怪ブームだったのである。

小僧の生い立ちは鬼太郎に負けない設定がある。妖怪としての能力だって鬼太郎に負けてはいない。人に忌み嫌われる主人公としては、ベムに匹敵するところがある。
しかし、楳図の興味はどうしてもキャラクターより恐怖そのものへ向かうようで、小僧が傍観者のポジションにとどまっている話が目立つ。その上、ハッピーエンドを描かないのだから、子供には受けなかったんじゃなかろうか。
単行本では、60年代少年画報・キング版と70年代サンデー版が混ざっているので、作風に著しく統一感を欠くのも残念。