2008年08月15日

崖の上のポニョ その1

 宮崎アニメを観るのは国民の義務であり、押井アニメを観るのはオタクの義務である。

 「崖の上のポニョ」、観てからだいぶ経つのですが、いまだにこれを面白かったと言っていいものかどうか、困ってます。他でやらなかったことを成し遂げているのは確かなのですが、それがどんな価値があるのかさっぱりわからない、とでも言いましょうか。

ポニョと宗介

 子供を子供らしく描く。幼児二人が主役となる本作において、これは大変重要なポイントとなります。
 まず、ポニョのキャラクター。これは「トトロ」におけるメイから発展した、暴走する幼女。その直情的なアクションには、誰もが子供らしさを感じたでしょう。
 これに対し、宗介はおとなしいよい子で、人によってはつまらないキャラと感じたかもしれません。しかし、私は、宗介の描写に感心しました。
 宗介は、途中の父と交信する場面だけでも分かりますが、賢く親思いの子供です。しかし、子供の賢さってのはどこかズレてるんですね。例えば、ポニョを瓶から助けるシーンで、力任せに引っ張ったあげく、瓶をたたき割ってしまう。「死んじゃったかな」とかつぶやきながら水道水をぶっかけるわけです。これをさほどあわてもせず、淡々とやるのは、自分ルールで正しいことをやってるつもりだからです。私自身も子供の頃、金魚とかインコとか飼ってましたが、それらが死にそうになると、何の科学的根拠もない治療ともまじないともつかないことをしたものです。
 後半、宗介は母を助けるために出発します。とても偉いのですが、これも大人になってからの正しさとは少し違います。子供というのは、時として自分ルールによって、大人とは比べものにならないくらい自分を律しているものだからです。船長の帽子をかぶって、父の代わりを果たす、というのは彼の日常におけるルールだったのでしょう。
 このように、奔放なポニョの子供らしさのうらで、もう一つの子供らしさが丁寧に描かれていたのです。宮崎監督は、父親らしいことはしてやれなかったと言っていますが、息子さんのことを案外よく見ていたのかもしれないな、と思いました。

posted by Dr.K at 12:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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