開発と販売がもめ、暴露文書が飛び交って、すっかり泥沼の様相だった「海腹川背」の開発。ところが、全く突然に、販売元から新たなアナウンスがもたらされた。
『海腹川背・旬 SE完全版』で酒井潔さんがメインプログラムを担当
ままままじっすか。ここまで作ったものを放棄し、スーパーファミコン版を手がけた生みの親にプログラムを担当させるという、ウルトラC。
文句を言う開発会社と手を切った、ということで事態は一気に収束へ向かうことになる。
この策を考えたやつは相当のキレ者だ。以下は、タチの悪い妄想なのでそのつもりで読んでほしい。
某月某日 販売会社G社会議室 BGM:ダースベイダーのテーマ
海千山千のプロデューサー(以下海)「あのクソ開発、なんとかならんのか。勝手にネットに裏のことを流しくさって。」
皮算用する版権ゴロ(以下川)「フィリピンで安う作らせて、小金を稼ぐ作戦が台無しじゃ」
海「守秘義務違反や名誉毀損は、訴えればいいとしても、我が社のイメージダウンは避けられん。何か方法はないのか!」
腹心の部下(以下腹)「それなら私に良い策が」
海「聞こう」
腹「まず、開発会社を完全に叩く必要があります。契約を破棄し、裁判に打って出ましょう」
川「そこまでせないかんか」
腹「今回のような要求を呑んだら、他の開発からも甘く見られます。我々に逆らったらどうなるか、見せしめにしてやらねばなりません」
海「だが、それではゲームは完成しない。我が社のイメージも悪いままだ」
腹「大丈夫です。Sにメインプログラマーを担当させます」
海「あ、それは無理。前、続きを作ってって言ったら断られたから」
腹「新たにプロジェクトチームを発足し、作り直すという条件で、すでに了承を得ています」
川「それでは予算が大幅にオーバーでは」
腹「確かに金銭的には痛手です。しかし、我々は今後もゲームを売り続けなければならない。開発が悲劇のヒーローとなり、ファンが応援するという、今の構図はいかにもまずい」
川「わしらすっかり悪者やもんな」
腹「しかし、ファンなんてものは、自分がプレイしたいゲームが出さえすればよいのです。Sが作るとなれば、無名の開発をわざわざ応援する理由はない」
海「それで怪文書の流布が止まるか?」
腹「念のため、Sの方からファンに声をかけてもらいましょう」
川「それでもとの開発は孤立か、おぬしもえげつないのぅ」
腹「はっはっは、機材差し押さえとか会社乗っ取りには負けますよ」
背に腹はかえられぬ経営者(以下背)「じゃ、今後はそういう方向で。」
こうして、東南アジアに売られた少女は、生みの親の元に帰ってきた。しかし、かつて親切にしてくれた育ての親は行方不明で、ヤクザは相変わらず身辺をウロチョロしている。
「海腹川背」の主人公こそは、今、ゲームの世界で最も幸薄い少女である。
そもそも、お蔵入りってのは、開発者にはこたえますよね。
ちなみに、酒井さんによる開発体制は、かなりしっかりしたモノになる(そもそも酒井さんが今回提示された納期で十分に納得している、というのがもの凄い)、という確実な情報を聞いております(;´Д`)