これは大変なことになった。手塚資金(※)を取り崩してでも予算を捻出せねば。
※突然出版される手塚作品の高額復刻本のために、Dr.Kが常時用意している資金。
手塚に比べ、藤子は不遇の作家である。手塚は生前から全集があり、文庫や復刻も豊富で、色々な作品に触れやすい。一方の藤子は、かつて藤子全集が出たもののあっさり絶版。メジャー作品以外は、なかなかお目にかかれないのが現状だ。アニメ「ドラえもん」などで、世代を超えて継続的に支持されている作家にしては、全くお粗末な状況と言える。
それが色々と〈完全収録〉になるとのこと。まことにめでたい。
私が小学生の頃のこと。雑誌で「ドラえもん」を読んだのだが、そのエピソードがいつまで経っても単行本に載らず、不思議に思ったことがある。
実は、「ドラえもん」は学年誌で全学年同時連載、しかも学年に合わせて全く別のエピソードが描かれていた。単行本に収録されない話も多数あったのだ。
今回の大全集の中で、「ドラえもん」の完全収録はやはり魅力だ。
第1巻の中では、初収録の「最終回」が特に見たい。連載の初期は、長期連載になることを想定していなかったのであろう。学年の終わりにきっちり最終回が描かれていたのだ。人気が出てからは、終わらないことが前提となっただけに、どんな結末だったのか気にかかる。
掲載誌別・連載順に再構成されているため、今後の続刊では、「コロコロ」の創刊で「ドラえもん」にどんな影響が出たのか、などがわかってしまうかも。マニアには興味のつきない内容だ。