2009年10月03日

キング・コング

 いい映画だなぁ!

 テーマとか感動とか、面倒くさいことはすっぱり捨てて、エンターテインメントに徹する。大金をはたいてこんなのを撮ってしまうなんて、洋画も捨てたもんじゃない。
 爆走し、折り重なる恐竜の群れ。コングと恐竜のバトル。おぞましい虫軍団。アイデアの限りを尽くしたスペクタクル描写には、CGが発達して少々の映像には驚かなくなってしまった今どきの観客でも満足できるはず。

 このように、技術的には、今だからこそ出来る映像なのだが、観ると非常になつかしいという感覚になる。そのなつかしさは、本作が白黒映画のリメイクである、という理由を越えたもっと普遍的なものである
 作中に映画監督が登場する。(ジャック・ブラックが演じているが、すぐに詐欺師ということがわかる素晴らしいキャスティングだ。) 彼はコングを映画に撮ろうとする。それが叶わなくなったので、コングを捕らえ、本当に見せ物にしてしまう。この詐欺師にとっては、映画も見せ物も本質的には何も変わらない。
 実際、昔の映画には、見せ物としてのものが多かった。白黒の「キング・コング」はもちろんそうだった。他にも様々な怪物がスクリーン上で暴れ、観客はそれを見ることを目的に映画館に足を運んだ。だから、怪物が出るのに面倒な理由付けは必要なく、怪物がいなくなればそこで話は終わりである。
 そういう、見せ物映画のおおらかさが、このリメイク版「キング・コング」にも生きている。だからなつかしく、居心地がいいのである。白黒の「キング・コング」は、コングがビルから落ちると、数秒後にはEndと出るあっけなさだが、リメイク版もそれに近い幕引きで、旧作を踏襲していたのには感心した。
 テーマは〈美女と野獣の恋〉などと書いてあるかもしれないが、そんな言葉に騙されるようでは、ジャック・ブラックのショーの観客と変わらない。美女はもう一つの見せ物でしかない。本作は、エンターテインメントを見せ物に戻した、心あるリメイクの成果である。

セリフの量 2
悲鳴の量 8
咆吼の量 10
個人的総合 8

posted by Dr.K at 12:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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