2010年05月26日

セブン

 あまりに救われない衝撃のエンディングが話題になった映画。先日、初めて観る機会を得たが、エンターテインメント性とアート性を高度に両立した名作だった。
 不協和音とミュージッククリップ風の映像が印象的なオープニングは、同時に、アート系映画特有の気難しさを予感させたが、余計な心配だった。あとは、殺人事件の行方を追っているだけで、自然に楽しむことができる。意表をつく展開も多くて飽きさせない。
 タイトルの「セブン」とは、キリスト教における七つの大罪のこと。そのモチーフを際だたせるために、実際よりも荒廃した架空のアメリカを舞台にしているとのことだが、今となってはほとんどリアルと変わらないと言う印象なのがそら恐ろしい。そして、キリスト教の影響下にない者にとっては衝撃は半減。犯人を単なる狂信者と見てしまっては、よくある残酷趣味の映画になってしまう。作中の刑事と同様、自らの信じる正義がぐらつく感覚を味わえるかどうかで、この作品の印象は大きく変わる。
 逆走するエンドロールが、ここまでをなかったことにしたい、という観客の意志とシンクロしているのもうまい。
 それにしても、この完成度の高い映画を作ったのがデヴィッド・フィンチャーとは。この監督、「エイリアン3」の監督をしており、キャメロン監督が「2」で助けた少女を、「3」のオープニングで死なせるという暴挙を働いていて、個人的に嫌な監督だと思っていたのだが、ちょっと見直すことにする。

後味の悪さ 7
グロ映像  7
世も末度  7
個人的総合 7

posted by Dr.K at 21:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フィンチャーはこの後の『ファイトクラブ』で更に進化するのですが…なぜか『パニック・ルーム』以降、現在に至るまでひたすらフツーの映画ばかり撮り続けていて、今ではすっかり『セブン』の頃の個性が無くなってしまい、残念至極です。
Posted by GON at 2010年05月27日 20:23
セブンが良かったので、ファイトクラブにも興味が出てきました。
個性を保つのはやっぱり難しいのかな。
Posted by Dr.K at 2010年05月27日 21:06
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