2010年06月05日

RAILWAYS −49歳で電車の運転士になった男の物語−

 スケールの小さい地味映画ながら、観て良かったと思える貴重な一本。

 そもそもタイトルが詐欺である。ALWAYSの制作会社が作った新作だが、これっぽっちも似たところがない。本作は鉄オタ以外に向けての商売っ気が全くない。CGの力業も見せはしない。
 49歳のエリート会社員、筒井(中井貴一)が、その地位を投げ打って田舎の電車運転士を目指す。副題からすると、その過程を見せる物語と思われそうだが、これがまた違う。意外なほどあっさり運転士になれてしまうが、それ以降にまだまだドラマが詰まっている。

(以下、ネタバレを含む)

 筒井の会社での仕事は、リストラを進めることだった。筒井は、同期で親友でもある工場長の川平(遠藤憲一)に工場の閉鎖を命じる。工場は整理されたが、川平は交通事故で死亡。筒井は大きなショックを受ける。
 品のある描き方だ。タチの悪いTVドラマだったら、インパクトを増すために、川平がリストラを悔いて自殺、などとやりかねない。

 筒井の振る舞いも品がある。転職のために汗水たらしたりせず、真剣だがマイペース。面接試験のやりとりは実にユーモラスだった。また、運転士の試験に合格したとき、嬉しさを隠しきれない少年のような顔を見せるところがすばらしい。中井貴一は老けないなあ。

 筒井の母が亡くなる場面をくどくど描かないのも好感が持てるし、妻の由紀子(高島礼子)が夫の仕事を理解しつつも別居を続けるという、ご都合主義過ぎない結論もちょうどいい。
 夏休みの帰省のように、一服の清涼剤となることを目指した映画なのだろう。情感溢れる鉄道の音をリアルに聴くためだけでも、映画館で観る価値はある。

中井貴一   9
本仮屋ユイカ 8
宮崎美子   10
個人的総合  8

posted by Dr.K at 18:57| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Tracked: 2010-06-13 12:04

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Weblog: 心をこめて作曲します♪
Tracked: 2010-06-15 23:45