2010年10月05日

借りぐらしのアリエッティ

 子供向けのふりをして前衛的なストーリーをぶちかました「ポニョ」とは違い、普通に子供向けを通しきった一本。

 良かった点は、なんといってもアニメーションの品質の高さ。
 事前には、少年が小人と出会う話かと思っていたが、そうではなく、小人が少年と出会う話だった。場面の多くが小人視点であり、詳細な動作や小道具の描写により、スケール感の違いがよく伝わってきた。音の使い方も巧み。少年は病弱なので、動作はむしろ穏やかなはずだが、小人のアリエッティから見ればゴジラのようなもの。音の違いで、その視点の違いがより鮮明になっていた。そして、これら大きさの対比は、映画館でこそ楽しめるものになっていてうまい。
 残念な点は、あまりにシンプルなストーリー。家政婦さんが一身に悪を背負わされる形になってしまっていて、なんだかかわいそう。子供向けだから複雑にしてもしょうがないんだけどね。

 宮崎駿が監督しないことで、強烈な個性は失われたが、ジブリスタッフの作画を生かし切っている。将来のジブリアニメはこうなるのか、と予感させる作品になった。

【余談その1】
 映画館で、隣に2〜3歳の子供を連れた親がいた。子供はまだ言葉も満足にしゃべれない感じだったので、さすがにこの映画は無理だろ、と思った。ところが、ジブリのロゴが映るや、歓声をあげて注目。この歳にしてトトロを覚えるとは、なんという英才教育。上映中も、小人に感情移入できている様子が見てとれた。子供の感性はすごい。

【余談その2】
 道具や植物は写真のようにリアルに描けているアリエッティだが、虫だけは顔がデフォルメされていた。確かに、リアルに描いてしまうと怖すぎるだろうなあ。

【余談その3】
 スタッフロールに佐藤好春がいて驚いた。かつてジブリを飛び出して、ゲーム「ラクガキ王国」を作った人である。かねてから、DSやWiiなど、絵を描くのに適したハードが出てきているのに、「ラクガキ王国」の新作が出ないのは惜しいなあ、と思っていたのだが、いつの間にかアニメ業界に戻っていたようだ。

映像美     8
音響効果    9
荷物出し入れ 10
個人的総合 7

posted by Dr.K at 11:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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