2011年01月08日

純喫茶磯辺

 ダメな父親、裕次郎(宮迫博之)が突然喫茶店を開業すると言いだし、娘の咲子(仲里依紗)は、うんざりしつつそれにつき合う。案の定、店は不入りだったが、美人の素子(麻生久美子)がバイトで雇われたことをきっかけに、様々な波乱が起き始める。

●雑談を横で聞くかのような空気感
 素というかリアルというか、なんとも不思議な映画だ。
 まず、予告編を観るだけでわかる、衣装の普段着っぷり。
 また、セリフというのは、どうしても日常会話とは違ってしまうことが多いが、本作のセリフは普通過ぎる。もごもごした言葉遣いで全体にテンションが低い。宮迫博之は、お笑い出身ということもあって、声を張ったやかましい奴という先入観があったが、裕次郎では気弱な男を演じていて新鮮だ。仲里依紗に至っては、劇中ほとんどの間、女子高生らしく文句をぶうたれている有様で、全然演技してねえだろ、と突っ込みそうになった。ふくれっ面がかわいい、と見切った監督が偉い。

(以下ネタバレ含む)

●意地でも感動させない展開
 ストーリー運びも、ユニークだ。喫茶店を繁盛させる話か、と思ったら全然そうならない。離婚した妻とヨリを戻すのか、と思ったらそれもない。咲子と小説家のエピソードもひどいし、裕次郎と素子の恋は腰砕けに終わる。ここでこうなったら盛り上がる、というお約束を注意深くはぐらかしていく。
 終盤のシーンを例にすると分かりやすい。裕次郎と咲子が自転車に二人乗りし、咲子が眠くなって父の背中に頭を預ける。二人の信頼の回復を表す、いいシーンである。ところが直後、お巡りさんに二人乗りを咎められて降りることに。雰囲気はあっさり崩されてしまう。

●無敵のトラブルメーカー
 周囲を翻弄する美人、素子。麻生久美子は、知的で落ち着いた雰囲気のある女優だが、ここではバカっぽい役をやりきっていてすごい。何を考えているのかさっぱり分からないが、存在感だけはやたらある。素子みたいな女は確かにいる、と思わせる妙な説得力がある。
 咲子に「お父さんとあまりいい関係にならないでほしい」と言われた素子は、裕次郎に「まぁ、私、やりまんなんで」と爆弾発言をぶつける。もちろん嘘だろう。しかし、最後まで観ると、そうとも言い切れないので困ってしまう。
 カギを握るのは、素子が東京を去るときの手紙だが、その内容は観客に明かされることはない。安っぽく答えを用意しないのは、ちょっといい。

 でも、この映画を面白い、とかいう若者はちょっとやだなあ(笑)

テンション 1
日常度   8
オッサン度 8
個人的総合 6

posted by Dr.K at 18:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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