2011年06月19日

阪急電車 −片道15分の奇跡−

 究極のご当地映画。
 劇中で南果歩が座ってたベンチから90秒くらいの場所に住んでいる上に、これまた舞台である西宮北口の映画館で鑑賞という、もう二度とない体験だ。日頃見ているものがスクリーンに上映されているというのは、なんとも不思議な気分。

 例えば、私がニューヨークあたりに住んでいたとして、「スパイダーマン」の公開にご当地感覚を感じるかと言えば、多分違う。アメリカを代表する都市なので、ロケ地になって当たり前だし、そもそもストーリーが非日常的だ。
 ところが、「阪急電車」は、今津線というロケ地のローカルさがまず希少。ゴジラが破壊に来るほど名所ではなく、景色がきれいな田舎でもなく、寅さんが来るほど下町でもない、そんな半端な街をよくぞ題材にした。何より、普通の人たちの日常を描いたストーリーということで、ご当地感が加速している。

 有川浩の原作は、路線の各駅をタイトルにした連作小説。映画もそれに倣い、路線や駅名のテロップが頻繁に表示されるが、地元民にはわかりきったことである(笑)
 原作も読んでいるのだが、印象はかなり異なる。小説では、登場人物が普通の人ゆえに、ほとんど外見を想像しなかったのだが、映画ではそれらに具体的な姿形が与えられ、「おお、こんな感じか」と楽しむことが出来た。声に関してもがんばっている。関西弁がぎこちない人も一部いたが、いわゆるお笑いの大阪弁ではない、阪神間の言葉にきちんとなっていた。
 監督がテレビドラマ出身ということもあり、テレビでお馴染みの顔が多数登場している。中谷美紀はさすがの貫禄、谷村美月がいつも通りさえない役で安心し、玉山鉄二が悪人面を封印して癒し系を演じているのに笑う。相武紗季がケータイをへし折るシーンは「リバウンド」の信子が入っていた(笑)。MVPは芦田愛菜に突っ込む宮本信子。

「あなたはまた、面倒なところに突っ込んで。いったい誰に似たんでしょうねぇ」

 脚本は巧みにアレンジされて、ゲームの「街」や「428」のようなザッピングドラマの様相を呈しており、しかもわかりやすくまとめられている。わかりやすくまとめすぎて、悪い人が本当に悪いだけになってしまっているところが難点といえば難点。

 この映画を見た沿線の人は、地元を良く撮ってもらって嬉しいだろう。阪急沿線の住民は、他と比べてハイセンスなこの電車に、地元のプライドを仮託しているような所があって、その空気がうまく出ていたと思う。その点でも完璧なご当地映画だ。
 さて、劇中の電車にのって家まで帰るか。

ご当地感覚 ∞
スケール感 1
キャスト   8
個人的総合 7

posted by Dr.K at 11:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私じつは逆瀬川に住んでましたw
阪急電車見ないとなぁ〜と思ったけど、まだ見れてないんですよ。
Posted by 太い子 at 2011年06月19日 20:30
映画も原作も見てないんですが、
甲陽線は出てこないんですか?
Posted by Sash at 2011年06月19日 21:30
さすがにそろそろ終了かと思いますので、今のうちにどうぞ。
甲陽線は出ないですね〜
Posted by Dr.K at 2011年06月19日 22:33
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