2011年08月10日

ATOM

 これは何とも微妙。可もなく不可もなく、とはまさにこのことで、感想を書くのが難しい。
 「ATOM」は、2009年に公開されたハリウッド版の「鉄腕アトム」。とはいえ、アメリカ製ではなく、香港のCG会社イマジ社が作っている、という時点ですでにして雲行きが怪しい。CGの品質や動きはそれなりに見られるが、どこをとっても新しさはなく、「トイ・ストーリー」の二番煎じという雰囲気。ビルに描かれたヒョウタンツギ、2003年版アニメではオミットされた尻マシンガンが復活など、手塚ファンを意識した小ネタもあるが、それすらもピクサー社が映画の中でやる遊びの二番煎じに見える。

 アトムをはじめ、キャラ作りはなかなかいい線を突いている。特に、ヒゲオヤジの造形の素晴らしさは称賛に値するが、いかんせん出番が少ない。
 一方で、ハリウッド版シナリオを構築するにあたり、新たに作られたオリジナルキャラクターがことごとくはずしているのが痛い。ヒロインはアメリカの高校でバンドでもやってそうな凡庸なキャラだし、その仲間たちもとことん薄いし、ロボット革命軍の3体は見た目も中身もしょうもない。大統領もどっかで見たような悪役ぶり。
 何より許し難いのがお茶の水博士。原作では、天馬博士に代わって育ての父となり、アトムの人格形成に大きく貢献したはずの人物。ところがこの映画では、およそその役を果たさない。

 時間が短いせいか、テンポだけはやたら良いので、子供にはそれなりに受けると思うが、「鉄腕アトム」である必要性は乏しいと言わざるを得ない。
 人気が出たら続編を、と考えていたふしがあるが、売れなくてイマジ社は経営縮小を余儀なくされたのだとか。なんとも夢のない科学の子になってしまった。

映像美  7
ストーリー 4
上戸彩  7
個人的総合 5

posted by Dr.K at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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