2012年03月20日

「風ノ旅ビト」その2

 ゲームを始めると、砂漠の中にぽつんと立っている。
 とりあえず歩く。砂に足をとられる感じがする。どこへ行ったらいいのか。砂丘の上に何かあるので、登ってみたらタイトルが出た。

Journey2

 基本的な操作以外、説明らしい説明がほとんどない。しかし、迷うようなことはあまりない。景色を見て、あれは何だろう、という所へ行けば、だいたいはそれで正解だ。

 できることは極端に少ない。歩くこと、声(音波?)を発すること。ジャンプや浮遊は、限られた条件下でしか使えない。一通りを試した頃、石碑にたどりついて、デモが始まった。驚いた。広い砂漠をさまようのではなく、ステージクリア型のゲームだった。

 次のステージへ行くと、もう一人旅ビトが現れた。彼が仕掛けを解いてみせるので、私もそれに倣ってみる。しばらくして気付く。彼はCPUではない。そう、実はこれはオンラインゲームだ。

(以下に少しネタバレを含むので、ゲーム未体験の人はご注意下さい)

Journey3

 オンラインゲームとして見た場合、「風ノ旅ビト」の特殊さは一層際だつ。まず、コミュニケーションの手段がない。チャットもジェスチャーもない。寄り添うとパワーが回復すること、音波によって自分がいる方向を知らせること、くらいしかできない。CPUと勘違いするプレイヤーが続出するのも道理である。

 彼が他のプレイヤーと気付いたので、先に謎解きをされるとちょっと嫌だな、と思い、はじめのうちは先を争うように行動した。
 しかし、ステージが進むと別の感情がわいてきた。
 敵が現れると、助けがほしい気分になり、同行者が攻撃されると心配して駆け寄った。
 雪山では、吹雪の中、身を寄せ合って風を避けた。
 言葉も交わせないのに、彼は間違いなく友だった。

 一人旅のとき、旅先の見ず知らずの人と忘れがたい交流をすることがある。そんなものがゲームで体感できるとは想像もしなかった。そして、そのために作られた〈一期一会〉のシステム。このゲームは同行者を選ぶ機能がなく、フレンドを招待することもできない。エンドロールで初めて同行者のアカウントが判明し、しかもそれが大勢だったりして驚く。ゲームの進行度が近い者が自動的にマッチングされ、相手は時々入れ替わっているらしい。この仕組みを考えたクリエイターは天才である。
 薄いアクションゲームではない。確かにこれは、旅だ。

posted by Dr.K at 10:07| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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