2012年08月13日

ヘルタースケルター

 怖いもの見たさ、とはまさにこのこと。何しろ岡崎京子の「ヘルタースケルター」は、マンガ好きにとっては伝説の一作。当時の読者が来るのだとしたら、ちょっと年配の観客が多くなるだろうと思ったのだが、なぜか若い女性ばかり。色々とまずい。しかしながら、こんなものを自分の部屋にこもって観るほどの変態ではないので、やはり映画館に来るしかないのである。

 怒濤の2時間を過ごした結果、「ヘルタースケルター」の映像化としてこれ以上は望めない、という結論に達した。沢尻エリカの復帰作との触れ込みだったが、あまりに主人公の「りりこ」とシンクロし過ぎで、これが引退作になってしまうんじゃないか、と余計な心配をしてしまうほどだ。
 結末の一瞬に至るまで、ストーリーはかなり原作に忠実だが、テイストはだいぶ異なる。マンガでは、エグい物語をあっさりした絵柄が中和している感じがあった。しかし映画はこてこてのゴテゴテである。極彩色の蜷川レッドに彩られた画面、マンガにはなかった肉の感覚を伴った長い濡れ場、そして何よりあふれ出す嫌悪感。
 とにかく全編にわたって目障りかつ耳障り。東京の女子高生がキンキン声でわめきちらし、不愉快な音楽がガンガン鳴る。ファンもフラッシュも度を超していて、りりこでなくても頭痛や目眩がしてきそうだ。
 その美貌でトップモデルになったとされるりりこ。見始めたときは、その作りに作ったファッションに、ちょっとこれは今のはやりじゃないな、と思ったが、新人のこずえがナチュラルな美貌で追い抜いていく描写には非常に説得力があり、感心した。
 原作を読んだときにも思ったが、女性に厳しいのはいつも女性。破滅型の主役を沢尻にやらせたのも、りりこの妹として本当にブスを起用したのも、浜崎あゆみの全盛期の歌を一部だけ使ったのも、容赦ない制作姿勢の結果と言えよう。
 本気で作ってんなあ。このことがどれほど貴重であることか。

 記者会見のシーンで悲鳴を漏らしたお姉さんがいた。結末に文句を言っていた女性グループもいた。大方、沢尻がきれいに撮れているだけの軽いものを期待していたんだろう。残念ながら、てめえらを気持ちよくさせる映画じゃねえんだ、ざまあ。

原作再現度 10
業の深さ   10
錦ちゃん好演度 9
個人的総合 8

#映画ブログ

posted by Dr.K at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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