2012年12月16日

伏 〜鉄砲娘の捕物帳

 架空の江戸時代を舞台に、伏(ふせ)と呼ばれる化け物と、それを狩る少女との邂逅を描くアニメ映画。
 主人公の少女の名前が浜路(はまじ)。他に船虫(ふなむし)なんて名前の女性も出てくる。妙なネーミングだと思ったら、南総里見八犬伝がモチーフなのだとか。原作未読なのでちょっととまどう。
 ビジュアルに関しては外連味がたっぷり。浜路の鉄砲はガトリング砲のようなゴツいデザイン、江戸の町は従来のイメージを覆す極彩色で描かれ、将軍家定は信長のような洋装。要所の場面で背景が抽象化され、アートっぽく色彩や形状が乱舞する。独特のセンスがある。
 ところが、ビジュアルと違ってシナリオは全然センスない。浜路と信乃の出会いが四つ角でごっつんこ、というのはいただけない。パンをくわえた綾波がシンジとぶつかるエヴァの方が、ありきたりを自覚している分よほどマシである。それ以外の場面もご都合主義が目立ち、見せたい場面の連想が先にあって、それをつなげて作っているという感じが強い。
 八犬伝の著者である滝沢馬琴が鍵となる人物として登場したり、劇中劇の形で伏の由来を語るなど、教養のある所を見せるかと思いきや、信乃が典型的な最近のアニメのイケメンだったり、冥土がメイドにしか見えなかったり、キャラの立て方が終始オタ臭い。なんというかちぐはぐである。
 アートよりの作品にしたいのか、オタク向けのエンターテインメントに徹するのか、スタンスを決めた方がいいと思う。また、浜路は伏を一人しか始末できなかったので、サブタイトルもどうかと思う。

サイケデリック度 10
エキセントリック度 7
ダイジェスト度   8
個人的総合 5

posted by Dr.K at 22:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック