「アンフィニッシュド スワン」は、PS3のダウンロード専用タイトル。1200円。「風ノ旅ビト」か「DATURA」を持っている人は、1000円で購入できる。エンディングまでの所要時間は3〜5時間。
導入の物語が終わると、驚いたことに何も見えない。しかし、そこには何もないのではない。インク玉を投げ、ものの形を見えるようにしながら、先へと続く道を探す。
このアイデアのインパクトに惹かれて買ったが、それだけのゲームではなかった。ステージが進むたびに、新しいギミックが登場。終わるまでの間、何度も発想の新しさに感心した。
プレイ時間は短いが、何度も中断しながら数日かけてクリアすることになった。一人称視点できょろきょろ探索しなければならないせいか、人生初の3Dゲーム酔いに倒れた。特に最初のステージでそれがひどいようだ。しかし、面白いのでがんばった(笑)
公式:The Unfinished Swan
パラボラゲームス:The Unfinished Swanについて知っておくべき10のこと
以下は、クリア後の考察。ストーリー及び結末について扱うため、未プレイの方はご注意。
●結末
いわゆる夢オチであるため、その内容に辻褄が合わなくても問題はないと言ってしまえばそれまでである。ここまでの雰囲気に惹かれてプレイしたユーザーの中には、がっかりした人もだいぶいた様子。そこで、私としては、あえて内容の解釈に踏み込もうと思う。
●旅の始まり
モンローが目を覚ますと、お母さんの「描きかけの白鳥」(つまりUnfinished Swan)がいなくなっていた。モンローはそれを追って不思議な世界へ飛び込む。
●王様の物語
各ステージ内では、物語が朗読される。それは、ある王様の物語。白鳥を追っていたモンローは、導かれるように王様の元へたどり着くことになる。
●銀色の絵筆
モンローは、お母さんの銀色の絵筆を持って旅に出た。これが、インクや水を投げる魔法の筆というわけだ。公式サイトが「銀色の鉛筆」なんて誤植をやらかしていてタチが悪い。
ところが、不思議なことに結末では、王様が銀色の絵筆をくれるのだ。これは一体どういうことか。
●お母さんの絵
オープニング中で、お母さんが描いた絵をいくつか見ることができる。その中には、コウモリや王様の従者のカバの絵もある。モンローが冒険したのは、お母さんの絵の世界である。つまりその世界の王とは、姿を変えたお母さんではなかったのか。本作の最終章は、王様の独白形式になっているが、その主語をお母さんに変えると、色々と合点がいく。
●「絵を描いたのです」
モンローは、夢の中で親との再会を果たし、そこで改めて絵筆を受け取った。王様の言葉は、生前の母が伝えることができなかったことを伝えた。目覚めたモンローは絵を描きめる。一人の少年が親の死から立ち直る過程としては、けっこうきれいにまとまっている。
最後に一つだけ不満を。このゲームは絵本を模したタイトルが素晴らしいのだが、ひとたびクリアしてしまうと、裏表紙しか見ることができない。表紙へ戻れるようにしてほしい。