2013年04月20日

クラウド アトラス

 思ったよりわかりやすい映画で本当に良かった。

 本作は6つの物語から成る。オープニングで、各物語のハイライトが一気に流れるため何が何やらわからず、これは難解なものに手を出してしまったか、と心配したが、以降は見続けるとだんだん分かってくるほどよい難度で楽しめた。
 オムニバス形式ではなく、各物語を断片化してつなげてあり、キャストも一人で5役6役と演じている実験的な作りだ。個人的に気に入ったのは、ネオソウルを舞台にしたSFのパートと、文明滅亡後を描いたパート。正直なところ、分けて整理すると大して面白くない話もある
 しかしながら、時代もジャンルも異なるパートが入り乱れることで、独特のダイナミズムが生まれていて楽しい。各パートは互いにほぼ無関係なのだが、映像的にリンクしたり、共通の人物やアイテムが隠されていたりと、実は何かあるのではないか、と終始怪しいところも魅力。
 「入り乱れる」と表現したが、それぞれのパート内は物語の時制が前後することはなく、結末へ向かって真っ直ぐ進む。その結果、この映画の終盤は、6つの物語が同時にクライマックスへ突入することになり、その盛り上がり感は格別である。

 手塚治虫の「火の鳥」と比較されることが多い作品だが、輪廻やら転生やら難しいテーマを扱っているわけではなく、エンターテインメントとして各パートを楽しめばそれで充分。スタッフロールでキャスティングの種明かしが入っていることからも、作り手の遊び心から生まれた形なのだと思う。

 なお、あるパートで、石油の利権を守るために、原発事故を故意に起こそうとする陰謀が描かれるが、本当に事故が起こってしまった日本から見ると、その悪がより強く印象に残る。

ハル・ベリーの変装 10
トム・ハンクスの変装 10
エージェントスミスの変装 1
個人的総合  8

posted by Dr.K at 17:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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