2013年05月05日

浪漫あふれる空中遊園地 「BIOSHOCK INFINITE」その2

 このゲームは一人称視点を採用している。それ自体は珍しいことではないが、ストーリーの進行に関しても一人称に徹底してこだわっているのが特徴だ。他の作品であれば三人称や回想シーンで済ませてしまうような部分も、「BIOSHOCK」は〈今、ここで〉見るものに置き換える。そのことで、ストーリーへの没入感が持続するのだろう。

●キネトスコープとボックスフォン
 空中都市コロンビアは、平和なところかと思ったら一転、主人公ブッカーは追われる身になる。
 初めて訪れる町なので、どんなところなのかさっぱりわからない。凡庸なゲームだとここで長々と背景を語り始めるが、本作では街角のあちこちにあるキネトスコープを覗くと、白黒映画で断片的に説明してくれる。観光地という設定がうまく生きている。見ずに通過することも自由だ。
 また、物語の鍵を握る重要な人物にまだ会っていない段階で、これらの人物について知りたい場合。ボックスフォンと呼ばれる録音機がそこかしこに落ちているので、拾ってメッセージを聞くことで人物と背景を知ることが出来る。今だったらiPodくらいのものになるのだろうが、1910年代のテクノロジーなのでレコードプレーヤーまがいの機械だ。
Bioshocki02
ボックスフォンの優れているところは、聞きながらゲームを進めることができる点だ。しょうもないメッセージを開くたびに手を止めさせられるどこかのゲームとは大違いだ。

(以下に多少のネタバレを含むので注意)

●エリザベス
 本作のヒロイン、エリザベスはその生い立ちのために幽閉されているという設定。彼女との出会いのシーンは秀逸だ。
 まず、研究所を通過することで、観察記録を通してどんな人物かを知る。そのあと、ブッカー自ら実験室を操作し、彼女の今を見ることになる。ただデモを見るのとは違って何もかも能動的だ。

●スレート
 老いた兵士、スレートは昔ブッカーとともに戦ったことがあるようだ。回想シーンを一切使わない方針のため、スレートとの戦いは独特の演出がされる。
 戦争の記念館を舞台に、展示物を見ながら過去の戦いを想像し、スレートのセリフは館内放送を通じて聞こえてくるのだ。

●エレベーター
 ボタンを押して、エレベーターが来るのを待つ。あるいは、エレベーターに乗り、目的のフロアに着くのを待つ。他のゲームだったら、省略してしまう場面だ。しかし、〈今、ここで〉にこだわる「BIOSHOCK」は違う。
 待ち時間になりそうな部分は、景色を通じて世界観を見せたり、会話を並行させるなどして有効に利用されている。

●BGMじゃない曲
 音の使い方も変わっている。戦闘が起こると専用のBGMがかかるが、それ以外の音楽は〈今、ここで〉聞こえているもの。生演奏、ラジオ、蓄音機など、探してみると実際に音源がある。

 全体に、世界を体験することにとことんこだわっており、臨場感が高いレベルで続くのを実感している。うまくシナリオを作るのだけが方法じゃなかったんだ、と目から鱗である。

posted by Dr.K at 17:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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