2013年06月05日

現実と空想のあわい 「怪獣が出る金曜日」

 レベルファイブ設立15周年で、今だけ半額なのでダウンロード購入。少しだけ遊んでみるつもりが、先が気になる展開に引っ張られ、一気にエンディングまでプレイしてしまった。所要時間は2〜3時間というところか。

 舞台は昭和46年の世田谷。主人公はクリーニング屋の息子で10歳になる少年。この町ではどういうわけか毎週怪獣が出現するらしい。
Kaikin
 その世界観から、毎週怪獣が出るので対策を立てる、防衛型シミュレーションゲーム、などと勝手に想像していたのだが違った。純粋なアドベンチャーゲームで、しかもこの金曜日一日だけを描いた短編作品だった。
 スケールが小さい分、人物や背景の描写は繊細で、昭和の子供の雰囲気にどっぷり浸れる。開発が「ぼくのなつやすみ」のミレニアムキッチンなので、その辺は完璧である。パチもの感覚で描かれた怪獣カードもいい味を出している。

 物語は、怪獣が本当にいるのか、という謎を軸にしつつ、数々のサブエピソードを交えて進んでいく。あまりに日常を描いているため、怪獣なんてやっぱりいなかった、という結末になりはしないかとやきもきしながら進めていく感じが面白い。ストーリーは、現実と空想の境界があいまいになっていく様子を、子供の目線で追っていく。
 諸星大二郎のマンガに、「僕とフリオと校庭で」という名作がある。これが、舞台といいモチーフといい、このゲームとそっくりなのである。ほのぼのと暖かいゲームと異なり、フリオの方は不気味で薄暗い。しかし、現実と空想の境界を描いた点で、両者は共通している。このゲームを気に入った人には、ぜひ一読を勧めたい。

posted by Dr.K at 20:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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