「ラスト・オブ・アス」は、映画的ゲーム「アンチャーテッド」シリーズで名を馳せたノーティードッグ社の期待の新作。発売前の映像を見て、おお、今度は「アイアムレジェンド」か、と一人合点していたら大間違い。まさか「宇宙戦争」が始まるとは。
予告映像ではいきなり感染者と戦っていたが、物語はその発生から始まる。他のゲームだったらムービーで済ませてしまうようなプロローグだ。だが、このゲームはそこもちょっとした体験となる。パニック映画に一市民として放り込まれるのだ。
「俺、いつPS4買ったっけ?」と思うほど描き込まれたビジュアルのせいで、臨場感が半端ない。自分の家を探索するだけで半泣きである。
プロローグが終わると、荒廃した後の世界に話は移る。などと説明するのは簡単だが、本当に荒みきっていて容赦ない。
同じように荒んだ世界でも、「GTA」のならず者どもは、どこか抜けていてコミカルだった。「アンチャーテッド」のネイトは、どんなピンチにあっても軽口を忘れない。「GOD DF WAR」のクレイトスでさえ、セックスミニゲームではアホっぽかった。
ところが「ラスト・オブ・アス」にはそういう息抜きがほぼない。重い怖いつらいの三重奏で心が折れそうである。誰もが楽しく遊べるゲーム、という地点からは完全にかけ離れている。海外での評価は満点が連発らしいが、外人はどれだけマゾなのか。今回ばかりは普通の点数にとどめたファミ通のレビューの方を支持する。