2013年08月17日

DS西村京太郎サスペンス新探偵シリーズ京都・熱海・絶海の孤島殺意の罠

 古いゲームなのに新品でお店に出ていたのでつい買ってもうた。
Nishimura
 長ったらしいタイトルだけで、2時間ドラマテイストなのは丸わかり。音楽まで徹底的にパロディで笑てしまう。ちなみに「新」探偵シリーズとは、新しいの意味ではなく、新(あらた)という主人公の名前。京都も熱海も絶海の孤島じゃねーし、とか思ってたら孤島は三つ目の舞台だった。詳しいタイトルやのに、ちっとも理解してへん俺ひでえ。

 さて、推理ものアドベンチャーに関しては、古くは「ポートピア連続殺人事件」から最近では「ラストウインドウ」に至るまで、あまたのゲームをプレイしてきた私だが、こんな簡単なんは初めて、歴史に残るヌルゲーや。
 だが、否定しているわけやない。世の中には、簡単なゲームは作るのも簡単、と思いこんでいる輩が跡を絶たないが、この場を借りてハッキリ言うておく。見た目ほど楽ちゃうわっ!

 プレイして気づくのが、極端なまでの親切設計。この手のゲームにありがちな、「どこの証言集め忘れたっけ?」「あとはどこ行けばいいんだっけ?」という引っ掛かりがない。何かがある場所にはマークが出るし、「ここで調べることは終わった」と明言してくれる。
 また、サスペンスものとして、謎やトリックがきちんと設定されているのだが、それを解明するために困ることがない。主人公が順序立てて整理し、解決へ導いてくれる。
 そして、クライマックスにはご多分に漏れず、犯人との対決があるのだが、ここで推理を間違ってしまってもゲームオーバーになるようなことがなく、何のペナルティもない。評価もなく、分岐もないので誰がプレイしても同じである。

 これらにより、「簡単すぎる」「自分で推理する楽しみがない」との批判が出るが、残念ながらそういう趣旨のゲームではないのだ。合間で「世にも奇妙な物語」のタモリのごとく、京太郎くんが茶々を入れるのを見てもわかるとおり、このゲームはテレビ番組のパロディを強く志向する。考えたり行き詰ったりすることなく、サスペンスドラマを楽しみたい人に向けて作られているのである。

 しかし、そうなってくると、アドベンチャーというジャンルが持っていたゲーム性をほとんど放棄することになるため、純粋にストーリー勝負、ということになってくる。これはこれで勇気のいる決断だ。結論から言うと、それは一定の成果を挙げている。
 京都編は、茶室の知識とリンクした謎解きが、いかにも西村京太郎らしく、面白い。熱海編では、極めて簡略ではあるものの、お馴染みの時刻表トリックが顔をのぞかせる。絶海の孤島編は、ゲームが解決してくれるものの、複雑なエレベーターのトリックがあり、ストーリーも主人公の過去に向き合うという最後にふさわしい内容。
 登場キャラクターも、デザインは一見古臭いが、アニメーションの付け方などに「逆転裁判」を意識した工夫がみられ、手抜き感のない良い出来だ。刑事以外は。
 また、自分で推理したいユーザーのために、推理ミニゲーム集が併録されており、これが歯ごたえ・ボリュームともになかなかのもので、本編を物足りなく思う人へのエクスキューズになっているのもうまい。

 発売当時は、「え、こんなの売れるの?」と驚いたゲームだったのだが、実際にプレイすると、これだけ配慮があれば商品力があるのも当然、と納得した。プロデューサーかディレクターは相当有能な人なのではないか。見た目ほど楽ちゃうで、ほんま。

発売当時の忍さんの記事:DSで「火サス」。

posted by Dr.K at 12:43| Comment(3) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
説明書の最後に犯人の名前が書いてあるんですね
Posted by Sash at 2013年08月17日 22:35
コメ遅くなりましたが、プレイありがとうございまーす!
1話の慶子ちゃんマジ天使ですよね。
Posted by あみ at 2013年09月30日 09:29
て、天使…?
Posted by Dr.K at 2013年09月30日 21:23
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