この夏もっとも話題の映画と言えば、世間一般的には「風立ちぬ」になるのだろうが、俺の周囲に限ると断然「パシフィック・リム」。
何しろ、いつも読んでいるブログで絶賛の嵐。それだけではなく、敬愛するゲームプロデューサー氏に、卒業生、当ブログの読者、と全方位からお勧めされてはたまらない。こんな圧力は初めてである。
そんなわけで、海から攻めてくる大怪獣と獲物を屠るイェーガーの取っ組み合いを映画館で堪能してきた。本当に良かった。薦めてくれた皆に惜しみのない感謝を。
こういうオタク的な題材で作ったものは、ハリウッドだと一般向けに薄まって、物足りないことになりがち。ところがこれはやりきっている。もう日本のクリエイターはお払い箱ではないのか。日本の専売特許、とあぐらをかいていたらまんまと出し抜かれた感じだ。
良いところその1。重みがある。特撮がCGになって、見た目は飛躍的に進化したが、動きの重みは多くの作品から失われてしまった。本作はメカと怪獣が取っ組み合うため、改めて重みが追求されている。ダグラムかザブングルかという、イェーガーの古臭いメカデザインも、この動きに合っている。
良いところその2。吹き替え。大御所の声優に任せたため、ものすごい安定感となつかしさ。「ロケットパンチ!」の掛け声で腕が飛ばなかった(笑) メカや怪獣の名前は元の通りらしいが、日本語で聞くとどこか感覚がズレている。それにしても、芦田愛菜はそのままの声なのに、菊池凜子は吹き替えられてしまうとは。あとケンドーコバヤシが上手い。
良いところその3。怪獣の迫力。ハリウッドらしい、愛嬌のないデザインで、怖さが強調されている。だが、私たちが子供のころ、着ぐるみの怪獣を見て感じた恐怖を、現代の技術で再現すると多分こうなるのだろう、と思わせる。見せ方がうまくて、スケール感もすごい。
良いところその4。テーマ曲。ロッキーのテーマに匹敵する名曲だ。ロッキーの曲を聴くと、今でもトレーニングのシーンが浮かぶのだが、パシフィック・リムの曲もまた、20年後に聴いてもコクピットが思い浮かぶようになるだろう。
そして最も良いところはストーリー、と言いたかったのだが長くなってしまったので、それはまた次回に。
吹き替え声優にここまで違和感の無い洋画は久し振りのような気がします。