ゲーム業界きっての名物社長として、ゲームファンから慕われ、時に畏れられた山内溥が亡くなった。享年85歳。
会社こそ退いたものの、力強い姿がいつまでも印象に残っており、勝手ながら当分亡くなることはないだろう、と思い込んでいたので驚いた。おそらく、その足跡をまとめるような追悼記事があちこちで書かれることだろうが、私としてはそんなお行儀のよいまとめより、いつも鮮烈だった強気の啖呵を聞きたい。というわけで、スーパーファミコンの頃の山内社長の言葉を引いておく。
もちろん、任天堂一極集中ですよ。任天堂の圧倒的シェアのもとに、一極集中ですよ。それを独占禁止法違反と言うたって、これは当たりません。どこをもって違反と言われるのか。
「新・電子立国4」より
カリスマと言われる人物には、常人には見えないビジョンが見えている。山内社長はまさしくそういう人であり、ゲームファンを驚かせ、喜ばせてきた。私自身、任天堂のゲーム機がなかったら、ゲームの仕事を目指すこともなかった。冥福を祈るとともに、感謝を捧げたい。