一話につき一年、どんどん時が進んでいくドラマ「ノーコン・キッド」。懐かし過ぎて先に進んでほしくない感じだ。
感心するのは、時代考証が非常にがんばっていること。セットが特に秀逸で、83年以降のゲームセンターが刻々と再現されていくのだが、きちんとその時期に合ったゲームを並べているのだ。さすがに、今動く機械を集めるのは難しいので、ゲーム画面はハメコミ合成かもしれないが…。
しかし、セットだけなら資料と予算があれば誰でも再現できる。「ノーコン・キッド」の本当に素晴らしいところは、当時のゲーマーの遊び方を再現してくれているところだ。
第4話は、「ドラクエ2」。最も話題になった「3」ではなく、「2」を選ぶところがまずうまい。「3」では、パーティーが自由に組めて展開が多彩になるため、今回のドラマのように多くのプレイヤーを共感させることはできないのだ。「2」のパーティーがそろうまでを、ドラマの展開とシンクロさせた脚本もベタながら面白い。
一人だけ大学に受かっている高野が、「レベル上げしといてあげるよ」と言うのもこの頃ならでは。いつストーリーが進むか予想しにくい今のRPGではできない相談だ。そもそも、今のゲームではレベル上げ自体があまり時間を要しない。
友達が来たら、「モンハン」「スマブラ」といったマルチプレイ対応のゲームを選ぶのが現在。ところが、当時はこのドラマのように友達と「ドラクエ」をプレイする、という状況もよくあったのだ。テレビが自分の部屋にある子供がまだ少なく、ゲームをお茶の間でする人が多かったせいか、見るだけの人がいることをあまり気に留めなかった記憶がある。一人プレイのゲームを交代しながら遊ぶことも多かった。
ゲームで徹夜、などと言うと不健全の極みだが、これが友達同士だとまるで印象が変わってくるのだから面白い。主人公が大学に受かるのはちょっと都合よすぎるけど(笑)