2013年11月07日

未来のゲームが目を覚ます 「BEYOND:Two Souls」その4

Bts04 エンディングまで到達したので感想と考察。
 本作を、ゲームとしての面白さなどという狭量な尺度で測るのは愚かだ。間違いなく、他では味わえなかった体験ができた。そのことをまず喜びたい。

 独特の操作は、この開発会社の前作「Heavy Rain」を発展させたもの。そのため、「BEYOND」もまた、ジョディに感情移入するゲームである、と説明されてきた。しかし、プレイを終えてみると、ジョディへの感情移入はそれほどでもなかったように思う。
 ところが、意外なところに感情移入の対象があった。エイデンである。霊体の操作は一人称であり、物語の都合に縛られず自由に暴れられる場面があるせいか、プレイヤーである私と不思議な一体感が感じられたのだ。
 ジョディにとって、エイデンは、意のままにならず、正体不明だが離れられないという厄介な存在である。この関係性は、ゲームキャラから見たプレイヤーの存在とよく似ており、いつしか私は、エイデンとなってジョディの物語を見ているような気になっていた。

(以下に、結末を含むネタバレあり)

●記憶の断片
 物語が時間に沿って語られず、断片化していた理由が、エピローグで明かされる。ジョディは記憶が混濁しており、思い出せたことを次々と書き留めていたのだ。
 このゲームは、プレイの内容によって展開が多少変化するが、そのことさえも、ジョディの記憶のあいまいさとして説明がついてしまう。実にうまいエピローグだ。

●真のエンディングはどれ?
 このゲームでは、いくつかの結末を選ぶことができる。果たしてどれが真の結末にふさわしいだろうか。
 「一人」を選んだ場合のエンディングはなかなかかっこいい。幽霊ハンターとしての旅は、続編のネタになりそうである。
 「ライアン」のエンディングは、それまでの冒険を振り返ると一番収まりがいい。ただ、気になるのは、ここの映像だけ異様に明るく薄っぺらいことだ。作り手がハッピーエンドを信じていない気がしてならない。
 「ゾーイ」を選んだ場合。ホームレスの章の舞台への帰還は、かなり唐突だ。しかし、ゾーイこそはジョディと同じ能力を持つ者であり、これを選んだ場合のみ、エンディングの最後で世界の裂け目に赴くシーンが二人になる。真の結末はこれなのか? と思わせる意味深さがある。
 個人的には、「ネイサン」エンディングが見たかったが、ウィレム・デフォーが破滅するというお約束はこのゲームでも生きており、その願いは叶わなかった。

●「ここにいるよ」
 いずれの結末を選んでも、エイデンとの再会が果たされる。別離という結末があっても不思議ではないのに、なぜだろうか。
 エイデンの正体は結末で説明されるが、やはりここには、エイデン=プレイヤーというもう一つの真相が隠れているのではないか。ゲームがプレイされる限り、キャラはプレイヤーと離れることはできないのだ。

●もう、二度死んでいる
 エンディングの最後、ジョディは危険に立ち向かうことを恐れない。なぜなら「もう、二度死んでいる」から。このセリフに、え、いつ死んだっけ? と思った人がけっこういたらしい。
 一度目は、ホームレスの章。自殺するか、火事に巻き込まれるかして、臨死体験をしている。
 二度目は、ブラックサン。生死の狭間に立ち、どちらへ行くかを選ぶあの場面だ。

●ナバホの章
 ナバホの章が、不評らしい。呪術をモチーフにした、異色の現実離れしたエピソードだからだろうか。しかし、これが余分だ、などと言うのはとんでもない間違いだ。そんなことを言うのは、重要なものを見逃しているプレイヤーに違いない。
 章末、父母を弔った後、聖地を去ろうとすると、精霊が現れる。その導きに従って、背後の岩山に登ると、ナバホ族に伝わる壁画を見ることができる。それがどうした、と言う人はもっとよく絵を見てほしい。壁画は、人と霊体がリンクした姿を表しており、ジョディは自分と同じような者が、過去にも存在したことを知る。そして、自分の運命と再び向き合う決意を固めるのだ。こんな重大なエピソードが余分扱いできるわけがない。
 ちなみに、この壁画、実在する「宇宙人壁画」をモデルにしている。妙にリアルで面白い。
 ナバホの章の最後は、バイクで去るジョディを、ナバホ族一家が見送るシーンで終わる。このとき、死んだはずの父母が見送りに加わっている。間違いにしては大きすぎる。これは、霊的な意味の映像と解釈したい。

posted by Dr.K at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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