2014年04月07日

角川文庫「なぞの転校生」を再読

 深夜ドラマ「なぞの転校生」が最終回を迎えた。はかなくも美しい結末に、これこそジュブナイル、と感心した。
 やがて、原作とどう違うのかが気になり始めた。そこで、書庫の奥から角川文庫をひっぱり出した。いつ買ったかも忘れていたが、帯に映画「探偵物語・時をかける少女」の広告が。1983年、なんとまあ30年以上も前である。

 再読してみて、驚いたことがいくつかあった。まず、作品の舞台が大阪だったこと。阿倍野、難波、上本町といった地名が出ており、広一の住む団地から通天閣が見える、という描写まである。何の根拠もなく、東京近郊というイメージを持っていたが、大阪のしかもコテコテの地域とは意外だった。なお、作中で関西弁は一言も使われない。
 次に、典夫たちが、この世界をD15世界と呼ぶこと。これにも驚いた。ドラマの最終回、他の宇宙から来た広一と名乗る人物は、D15世界から来た、と言った。彼は、モノリオが山沢典夫を名乗っていると知り、「それは(他の宇宙から来た)古い友人の名前です」と表情を崩す。つまり、この老けた広一は原作の広一であり、古い友人とは原作の典夫であることが暗示される。ドラマは、原作小説(NHKの旧ドラマ版でも可)の続編であり、パラレルな物語だったのだ。パラレルワールドの元祖とも言える作品のリメイクとして、これ以上の仕掛けがあろうか。
 読み終わり、最後にもう一つ驚きが待っていた。巻末に解説があり、眉村卓について書いてある。文末に記されるのは、解説者の名前。
 なんと、

 手塚治虫だった

posted by Dr.K at 07:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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