2014年07月16日

ロスト・ハイウェイ

 デイヴィッド・リンチ監督作品。例によって、どうせわかるはずがないので、ネタバレ全開で行く。

 インターホンが鳴ったので出ると、男の声で「ディック・ロラントは死んだ」と言った。

 おや、今度の主役は闇の組織の一員か何かだろうか。

 フレッドはサックス奏者。妻のレネエと暮らしている。ある朝、差出人不明の封筒が届く。中身はビデオテープ。再生すると、自分の家がうつっている。レネエは「不動産業者かしら」と言う。

 神経質な感じの夫だが、芸術家なら無理もないか。ずっと低音のノイズがかかっていて、不穏な感じが続く。

 別の朝、再びビデオテープが届く。映像には続きがあった。今度は家の中、夫婦の寝室まで撮られている。侵入者だ! レネエは警察を呼び、刑事がやってきた。

 刑事との会話で、フレッドのビデオ嫌いが明らかになる。「記憶は常に自分なりに。起こったままを記憶したくない」という意味深な理由を話す。

 妻の知人、アンディの家でパーティーが開かれる。フレッドはそこで、不気味な男に話しかけられる。「あなたと会ったことがある」「どこで?」「あなたの家で」フレッドが戸惑っていると、彼は携帯電話を差し出し、家へかけてみろと言う。かけると、目の前にいるはずの男が電話に出た。フレッドは混乱する。

 不気味な男、一目でやばい奴とわかる顔がすごい。リンチらしく、ここから幻想、妄想の世界へ入っていくのか。

 フレッドは妻とアンディの関係を疑う。三度ビデオテープが届き、そこには妻を殺すフレッドがうつっており、次の瞬間、「この人殺し野郎!」と罵声が飛び、フレッドは刑事に殴られ気絶した。

 ここまでのビデオは、ノイズだらけのモノクロ映像だったが、レネエ殺害の映像だけは血の赤も鮮やかなカラー映像。気持ちいいくらいの急展開。

 フレッドは死刑が決まり、独房に囚われる。頭痛を訴えるが相手にされない。翌朝、看守が見に行くと、フレッドの姿はなく、別の男が独房にいた。

 ほうら始まった。死にたくないあまり、姿が変わったとでも言うのだろうか。

 男はピートという若者だとわかった。犯人ではないので釈放されるが、不可解な現象なので、刑事が後をつける。ピートは自動車整備工として、以前の通りに働き始める。

 違った。ピートは親や友人、職場の人とも普通に接している。中身がフレッドということもなく、完全に別人のようだ。

 ピートのお得意様は、エディーという金持ちの親分。彼の本名がディック・ロラント。また、ピートがサックスの曲を聴いて不快に思うなど、フレッドの物語がかすかにリンクし始める。

 まるで主役が交代したかのように、物語が進む。エディーがエキセントリックに暴力をふるいながら、交通安全を主張するシーンがおかしい。

 ある日、エディーが愛人を連れて、ピートの職場を訪れる。ピートはその女性アリスに一目で惚れてしまい、やがて何度も体を重ねる。

 アリスはレネエと同じ役者。ベタベタの出会いシーンとラブシーンは悪意すら感じる。

 エディーに関係を気付かれ、ピートは命の危険を感じる。アリスは、知人のアンディを襲って金を奪い、二人で逃げようと提案する。

 何やらこわい女になってきた。アンディについてアリスが話すセリフは、フレッドに疑われたレネエが話したものと全く同じ。同一人物? にしては殺されていないし、謎は深まるばかり。

 強盗の直前、エディから電話がかかり、ピートは縮み上がる。エディの傍らにはあの不気味な男の姿があった。

 フレッドを陥れた事件に、不気味な男だけでなくエディが関わっていたのだろうか。

 強盗の結果、ピートはアンディを殺してしまう。盗品を金に換えるため、二人は車で出る。

 「俺たちがやった」と殺しに怯えるピートに、「あなたがやった」と冷酷に突き放すアリスの恐ろしさ。走行シーンがタイトルバックと同じなので、一瞬ここで終わるのかと思った(笑)

 砂漠の故売屋は留守だった。帰りを待つ間、二人は外で愛し合う。

 映像はきれいだけど訳がわからないよ!

 「お前が欲しい」「あんたにはあげないわ」姿を消したアリスを追い、店へ入ると、そこには例の不気味な男。「あの女の名前はレネエだ!」「お前は誰だ?!」ビデオカメラを突き刺さんばかりに構えて、男が迫ってくる。ピートはいつの間にかフレッドに戻っている。

 「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」なんて言葉を思い出すのはリンチの映画を観るときくらい。

 フレッドは、ロスト・ハイウェイ・ホテルに行き、エディを砂漠へ連れ出し、不気味な男がエディを射殺し、男は消滅した。

 エディがピートにあげようとしていたポルノ映画、彼自身が撮ったものだったのね。アリスやレネエは、アンディを通じてポルノに出演させられていたらしい。

 フレッドは自宅に戻り、インターホンを押し、「ディック・ロラントは死んだ」と言う。そして車で逃走、後を刑事たちが追い、何かを予兆させる乱れを見せてエンディングへ。

 時間を越えてインターホンを鳴らすという、ループものもびっくりの離れ業。一回見て理解できる観客など一人としていまい。激しいアクションなどないに等しいが、どこにカギとなる映像があるのか予測できないので、一切気が抜けない。
 解釈も色々なところに載っているが、わかったところで面白くもなんともないので、ここは不思議な世界をさまよったもん勝ち。全然奇妙じゃない「世にも奇妙な物語」とはスケールが違う。これで金を取れるって本当にすげえ。

不可解度 9
濡れ場  7
軽快度  8
個人的総合 7

posted by Dr.K at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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