2014年08月20日

思い出のマーニー

 予告編で、金髪碧眼という古典的な姿に描かれたマーニーを見、米林監督の「子どものためのスタジオジブリ作品を作りたい」というコメントも読んでいたので、世界名作劇場に回帰するような内容を予想していたが、完全に裏切られた。

 冒頭、いきなり自己否定が始まってびっくり。杏奈は、ジブリ史上最も暗いヒロインだ。周囲に溶け込めず、周囲を受け入れることもできない。物語は、彼女の目線で描かれるため、悪意などないはずの先生やクラスの友人も否定的にとらえられる。田舎にうつってからは、信子の描き方にそれが顕著。おせっかいな仕切り屋である信子は、太ったおばちゃんのような風貌で、どう見ても小学生には見えない。だがこれも杏奈のフィルターがかかった表現と思えばしっくりくる。
 一方で、マーニーは美しくミステリアスで、風景のきれいさも手伝って、杏奈の世界とくっきりと色分けされている。そして、幻覚とも幽霊ともつかない見せ方に観客が翻弄される。マーニーを見失った杏奈は、道端に倒れているのを発見されるが、これが妙に生々しく、事件性を感じさせる。もちろんこの作品に観客を怖がらせる意図は全くないが、米林監督が本気でホラーやミステリーに挑んだら、けっこういけるんじゃないか、と思った。
 杏奈に共感できる人にとっては、心にずしりとくる作品だが、それは孤立を経験した人という事でもあり、どう考えてもジブリ映画だから観ておこう、という層とは一致しない。マーケティング的には間違っているというか攻めすぎである。
 思えば、米林監督の初の映画「アリエッティ」とほぼ同時に、原恵一の「カラフル」が公開されていた。米林監督はそれを横目で見ていて、今度はこんなのがやりたい、と思って作ったのかもしれない。

追記: 声の演技は、彩香(めがねっ娘)が抜群にうまかった。後で調べたら杉咲花だった。何演ってもうめえな、この子。

キャラクター 8
背景      8
物語構成   5
個人的総合 6

posted by Dr.K at 14:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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