2014年10月14日

アバウト・タイム 愛おしい時間について

 あまり観たことのないタイプの傑作だ。題に倣って、まずはアバウトに冒頭を紹介する。
 主人公のティムは、イギリスの片田舎コーンウォールに暮らす21歳の青年。その風変わりな家族について紹介があった後、ティムは父に呼び出される。
「実はお前はタイムトラベルができる」
「マジでか」
 ティムはさっそく時をさかのぼって、年越しパーティーでの失敗をやり直す。
「ではルールを説明する。
過去に戻れるだけで未来へは行けない。
金儲けは考えない方がいい。爺さんはそれで不幸な人生を送った。
また、歴史を変えるようなことはできない。」
「親父は何をしたの」
「読みたい本を読みつくした。
さて、お前は何をする」
「彼女ほしい」
 ささやかだが至極真っ当な目標を立てて、ティムは過去へ旅立つ。

 本作はこのルールが重要。私は、10年さかのぼったら10年かけて戻っているのか、などと思ってしまったために、展開に違和感を覚えてしまったが、実際は、タイムトラベルの始点にはすぐ戻ってこられるという設定なので間違えないように。

(注意:以下ネタバレあり)

 ティムは、初恋の相手に挑戦するが、たとえどうやり直しても実らないことを思い知る。そして、就職先のロンドンでメアリーと運命的な出会いを果たす。ところが、お人よしにも、脚本家である叔父さんの劇の失敗をリカバーするために過去へさかのぼり、この出会いがなかったことになってしまう。
「やっと見つけた」
「いやいや初対面でしょ」
「ところで彼氏いるの」
「いるわ」
「Ω ΩΩ< な、なんだってー!!」
 タイムトラベルを駆使して、メアリーと結ばれるためにティムは奮闘する。

 本作のタイムトラベルは、その方法がとても簡単。しかも、副作用があるとか、代償が必要とか、大きな運命に巻き込まれるとか、SF設定ならありそうな障害がほぼない。なので、ティムは、口をすべらせたのをやり直したり、初のセックスを何度も体験したり、とお気楽に力を使っていく。
 このチート野郎め、と思っていると、物語は意外な方へ転がりだす。メアリーとの結婚式の日、天気は大荒れでハプニングの連続。ここでタイムトラベルを使わないのにしびれた。幸せな瞬間に能力はいらない、という結論なのだ。
 恋愛映画なら、以上で結末となるところだが、本作はまだまだ続く。子供ができ、妹が事故にあい、父が死ぬ。そうした中で、家族の幸せにこそ自分の幸せがある、ということにティムは気づいていく。タイムトラベルはその気づきのトリガーに過ぎなかったのだ。うむむ、やられた。ギミックの作りにばかり目を奪われがちなSFファンとしては、痛烈な一撃をもらった感じだ。いい映画とは何か、考え直すきっかけになった。脱帽である。

ヒロインの可愛さ 9
妹の可愛さ 10
叔父さんのボケ 10
個人的総合 9

posted by Dr.K at 06:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
傑作とオススメされて観に行かないわけにはいきません。
劇場はほぼ満席状態でしたが、なんとか最前列確保ですべりこむことができました。

もう大満足です。
なんなんですか、この幸せに満たされる感じは。
あの名作ラブアクチュアリーを始めて観た感じ!
と思ったら同じ監督サンなのですね。
こちらで「ネタバレあり」までを読ませていただき、
その他の情報無しで観たことが良かったようです。

僕がしびれたシーンは、
初恋の相手に再会し、ホテルに誘われ、一瞬迷うところですね。
はっ!ときびすを返して、あの超超超魅力的な彼女の元へ走りプロポーズ!
観ていて最前列で小さくガッツポーズを取りました(笑
病院のベッドの妹を2人で説得するシーンも素晴らしい・・

ところで、昨日は
島本和彦氏と岡田斗司夫氏の対談イベントに参加しました。
Dr.Kさまは来ておられませんでしたでしょうか?
お二人のお話はそこいらの関西芸人トークより面白く、
頷き、笑ってばかりの楽しい3時間でした。

アオイホノオとアバウトタイム、この2つのコンテンツは
僕の中で今年ダントツ上位になりそうです。
Posted by ぬむ at 2014年10月19日 22:51
いらっしゃいませ。
実は「ラブアクチュアリー」観たことないのですよ。名作らしいので、こちらもチェックしておかなければなりませんね。
Posted by Dr.K at 2014年10月20日 07:31
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック