痛快アメリカ万歳映画が地上波発放送。バトルシッパー諸氏のツィートで、連休中のネット界隈は大いに盛り上がったらしい。
以前から言われているが、この映画、「パシフィック・リム」と筋は似ている。
謎の侵略者と人類との対決を、迫力あるバトル中心で見せるのは言うに及ばず。主人公に兄がいて戦闘の犠牲となるのも同じ。ヒロインたちが別で動くのは、「パシフィック・リム」での科学者の冒険に対応する。新しい艦船を失ってしまったので、戦艦ミズーリを老兵の協力で動かすくだりは、本作きっての名シーンだが、「パシフィック・リム」のジプシー・デンジャーもまた、旧式ゆえに停電下で最後の頼みとなる。
であれば、「パシフィック・リム」を絶賛してやまない私は、この映画を楽しめて然るべきなのだが、これがまた全然パッとしないのだ。この印象の差はどこから来るのか。まさに慢心、環境の違いというやつだ。「パシフィック・リム」が怪獣VS巨大ロボという絵空事をオタクらしく大真面目に描いたのに対し、「バトルシップ」は終始コメディーに逃げる。チキンブリトーのくだりからそれは一貫しており、リア充がウェーイウェーイ言いながら半笑いで作ってるんじゃないかとすら思える。エンドロールで流れる反戦ロックも、内容が好戦的過ぎたから、というしみったれた言い訳の産物に見える。
作中では、エイリアン視点の映像で、丸腰の人間は攻撃対象にならない、という描写が繰り返し出てくる。殺戮を目的として行動してはいないのだ。こういう作品の敵にはふさわしくない描写で、もっと言えばエイリアンらしくない。そこでふと気づく。これは、日米が協力してどこかの国と戦うことの暗喩なのではないだろうか。バカ映画を装って、何か余計なことを吹き込まれている気がしてならない。
主役クズ度 8
親父無敵度 9
面白兵器 9
個人的総合 4