2015年06月04日

「Never Alone」はゲームの未来を照らす

 「Never Alone」をプレイし、大きな感銘を受けた。ダウンロード専売でクリアまでは3時間程度。

Neveralone

 少女と北極ギツネを切り替えながら、ギミックを解いていくアクションゲームで、横スクロールの画面もあいまって、システム面はクラシックな印象。
 特筆すべきはその世界観で、イヌピアット(アラスカの先住民族)の伝承をもとにした独特の物語が展開。デモ画面から敵に至るまで、民俗学的な考証にもとづいたビジュアルで作られている。登場キャラが少ないせいか、衣服の質感などが素晴らしく、キャラに人形劇のようなリアルさと動きのかわいらしさがある。吹雪や氷の質感もいい。

 ステージを進めていくと、徐々にムービーがアンロックされていくのだが、その内容がなんと、イヌピアットに取材したドキュメンタリー。民俗学の教材のような趣だが、ゲームの設定の背景を知ることができるので面白い。例えば、なぜオーロラが凶悪な障害物としてデザインされているのか、それもまたこの映像で知ることができる。
 ゲームを終え、ドキュメンタリーがかなりそろった時、サプライズが待っていた。イヌピアットに取材しただけのゲームと思っていたのだが、とんでもない。イヌピアットが開発チームに入って作ったゲームだったのである。まず、イヌピアットの文化を広く知ってもらいたいという動機があり、その方法としてゲームが選ばれたのだ。

『Never Alone』いかにして北極海沿岸の先住民族イヌピアットのゲームが作られることになったのか? その裏側を探る

 イヌピアットも今を生きる人間であり、民族の将来を考えるのは当然だ。彼らはコンピューターなど使えないし、忌み嫌っているだろう、と想像するのは都会に住む者の偏見だった。映画やTV番組では、古くからドキュメンタリーというジャンルがあるが、これからはドキュメンタリー・ゲームというジャンルが出来てくるのかもしれない。
 「Never Alone」は、ゲームも面白く、イヌピアットに関心を持たせる目的もうまく達成している。これからの指針になる出来であり、海外で多数の賞に輝いたことも納得だ。

posted by Dr.K at 09:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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