2015年10月04日

キングスマン

 おいおい何だこれ、面白すぎるだろ! 初夏の「マッド・マックス」と併せて、今年はバイオレンス映画の新世紀かよ! 後で監督が「キック・アス」のマシュー・ヴォーンとわかって納得。なるほど作風が一致してる。

 「キック・アス」はヒーローものを扱ったが、今回はスパイもの。貧しい育ちの若者が、英国紳士によるスパイ組織で活躍するまでを描く。作中で映画についての言及が多いのは、この監督の特徴だろうか。近年のスパイ映画を難じるセリフが印象的だが、多分そのまま制作側の考えなのだろう。そのセリフ通りの、シリアス過ぎない、振り切った映画に仕上がった。
 何しろ、アクション俳優のイメージなど微塵もなかったコリン・ファースが、ばっちり決まったスーツ姿で「リベリオン」超えのアクションを披露するのだからたまらない。観客の多くが、主役の青年と同じに口あんぐりで観たに違いない。
 対する悪役はというと、今まで何度聞いたかわからないお馴染みの大義を掲げて世界征服を企むが、それを達成する手段が今を見事に切り取っている。なるほど、こんな方法か、と感心しつつ、Googleもマイクロソフトも何か企んでいるのではないかと、怪しくなってしまう。IT長者は紳士ではない、とばっさり斬っているのも痛快だ。
 スパイ映画は時代を風刺する。教会の場面ではレイシストが成敗されるが、これを英国の白人がやるという皮肉。世界を守ると同時に、各国の要人やセレブは全滅という思い切りの良さ、そして映画史に残る悪趣味演出。スウェーデン皇室から抗議が来そうなオチ。「キングスマン」は世界中にケンカを売り過ぎている。これを笑えるかどうか、観る者の度量が問われる。噂によると続編では日本が舞台になるらしいが、日本はシャレのわからない観客が多そうなのでかなり心配だ。
 目の肥えた観客の予測を裏切り続けるシナリオも健在で、これだけありふれた題材で驚きに満ちた展開を作れるのは素直にすごい。モラルの外し方も暴力表現も行き過ぎているので、将来の地上波放送は微塵も期待できない。このインパクトを劇場で味わえたことは、僥倖としか言いようがない。

アクション 10
義足の美女 10
楽曲チョイス 10
個人的総合 10

他の方の注目すべきレビュー
Cinema A La Carte:あったまわるぅい(笑)
まじさんの映画自由研究帖:作中に登場するお酒の解説。ありがたい!

posted by Dr.K at 20:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック