2016年11月19日

この世界の片隅に その1

 この映画で、クラウドファンディングというものに初めて参加しましたが、やった甲斐がありました。見事な完成度じゃないですか。

●テアトル梅田へ
 公開以来、あまりに絶賛の声が大きいので、恐る恐る映画館へ。酷評されるのは悲しいですが、誉められすぎというのもそれはそれで怖いものです。映画館は、一人で来ている人が多いように見えました。年齢層は、アニメにしては高めです。

●地味な立ち上がり
 映画が始まり、最初の感想は、あれ、この程度か、でした。原作に近づけたのか、描線は少なくへろへろで、色彩も淡い。物語も非常に地味です。
 ですが、この地味さが効くんですね。日常にじわりと浸透していく戦況の不気味さが、抑制された筆致で描かれていきます。

●強烈な演出
 片渕監督の前作、「マイマイ新子」は、物語としてはかなり入り組んでいたのですが、ビジュアルに関してはほとんど奇をてらわず、世界名作劇場のごとき安定感がありました。ところが、「この世界の片隅に」は違います。先鋭的なビジュアルによる演出が随所に差し込まれています。
 空襲シーンでの音響には鳥肌が立ちました。爆撃だの、銃撃戦だのは、他の映画でいくらでも観たはずですが、いままで経験したことがないくらい真に迫っていました。それが、音の素晴らしさによるものなのか、私の感情移入のせいなのか、いまだに判断がつかないでいます。

●力強い結末
 ↑などと書くと誤解を招きそうです。地味な始まりの物語は、終わりもやはり地味でした。しかし、観客は日常を取り戻すまでの経緯を見ていますから、これ以上頼もしい結末はないのです。感動したとか、面白いとか、そんな感想にはちょっと違和感があります。観てよかった、というのが私にはしっくりするでしょうか。
 通常のエンドロールの後は、クラウドファンディングでの支援者の名前。大変な人数ですので、間延びさせるくらいならカットしてくれてよかったのですが、出資への特典でしたので律儀に流してくれます。正直、これだけの映画を完成させてくれれば他の見返りはいらないです。

 映画を観終わり、いくつかの疑問が残りました。実は、原作との違いを気にして映画が楽しめなかったら損だと思い、マンガを買ったまま封印してありました。これから読んで確認し、その謎を解こうと思います。

一見の価値 10
音響    10
のんの起用 9
個人的総合 10
posted by Dr.K at 18:15| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
映画見てきました。
言葉にならないけど、とにかく想像を遙かに超えて良かったです。
ここのブログに教えて貰ってからずっと楽しみにしてました。ありがとうございます!
自分もこの時まで取っておいた漫画を読みます。
クラウドファンディングに参加したかったなぁ。
Posted by うみのね at 2016年11月20日 17:32
お久しぶりです。
こちらは丁度マンガを読んだところですが、
よくこんなのを忠実に映画にできたな、と感心してます。
Posted by Dr.K at 2016年11月20日 19:01
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