2016年12月24日

「人喰いの大鷲トリコ」その3

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 終わった。素晴らしかった。
 この物語の結末に、特にわかりにくいところはない。しかしながら、ほぼすべてが少年の体験のみから語られるため、背後にある世界観や設定は説明されず、プレイヤー自らが想像するしかない。そこでここでは、上田文人の過去のゲームも参照しつつ、「トリコ」の世界を考察してみることにする。

(以下ネタバレを含むため注意)

●白き塔
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 かつてこの地を治めていたのは、白き塔の民だった。彼らは、科学と呪術による高度な文明を持っていた。トリコとは、この地にいた生物をもとに作られた生物兵器であり、鎧たちは呪術により生命を吹き込まれた衛兵である。

解説:最終ステージとなる白い塔は、周囲の遺跡とは異質な文明を感じさせる。また、トリコは、普段は動物のようにふるまうが、鏡に対する反応としっぽの雷だけは異様に機械的である。そこで改造された生物と解釈した。

●黒い影
 白き塔の民は、周囲の集落から人を集め、奴隷として使役した。トリコは人をさらう役目を持ち、鎧は監視する役を担った。このシステムを動かすために、呪術により意志を持った頭脳、「黒」が塔の中央に据えられた。

解説:白い塔以外の遺跡は、奴隷が建設したので様式が異なる。また、黒い球体は、それ自体が生物というよりは、谷のシステムを管理するマザーコンピュータのようなものと考えられる。

●管理者の死
 疫病か災害か、あるいは戦か。原因はわからないが、白き塔の民はこの地を捨てて去った。その際、管理者の棺には鏡が納められた。

解説:序盤に鏡を獲得した墓所は、白い塔と同じ文明を思わせる。棺はゲーム中に一つしかなく、よって、民が去ったと解釈した。あるいは、調査などが目的でこの地に来た、たった一人だったという説も成り立つ。

●そして現在
 白き塔の民が去った後も、「黒」は忠実に谷を守り続けた。システムを動かし続けるには、生命エネルギーが必要だった。そのため、トリコを使って集落の子供を定期的にさらった。鎧は衛兵として敵対する者から谷を守った。

解説:子供を選んでさらうのは、子供の方が生命力があるからである。ゲーム中で描かれる少年の集落はかなり不自然だ。トリコが着陸しやすい広場、子供を並べて寝かせておく習慣など、さらう側にとって都合が良すぎる。おそらく、「黒」に従う長年のしきたりでこうなったのだろう。

●トリコは人喰いの大鷲?
 主人公は、何度かトリコに襲われるが食われない。このことから、トリコたちはあくまで子供を運んでいるだけで、人喰いではないと考えられる。
 白い塔の屋上にはトリコの雛を模した像があり、ここに入れられた子供は(おそらく鎧たちの手で運ばれ)生命エネルギーを抽出される。樽は、そのエネルギーから作られた特別な飼料。だから瀕死のトリコが回復したりするのだろう。

●白き塔の民とは?
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 鎧たちは、目が青く光る。これは「ワンダと巨像」の巨像たちと同じだ。つまり、鎧を動かす呪術は巨像と同等のものと考えられる。白き塔の民とは、「ワンダ」のドルミンと同じ一族なのかもしれない。
 また、生命エネルギーで動く「黒」は、「ICO」で子供たちの生贄を集めていた影の女王を思い出させる。影の女王もまた、白き塔の民と近しい一族なのかもしれない。
 そして何より、イコ、ワンダ、「トリコ」の村人、いずれもが似たような民族性を感じさせる人物となっている。以上から、「ICO」「ワンダ」「トリコ」の三部作は、すべて白き塔の民に端を発する事件なのではないかと推測する次第だが、いかがだろうか。
 この後、「トリコ」の設定資料集が出るらしいので、もしかするとそこで答えが出るかもしれない。
posted by Dr.K at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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