2017年03月20日

「スケイルバウンド」開発中止についての憶測


 Xbox Oneユーザーにとっては、年明け早々のバッドニュース。ただでさえ少ない独占タイトル、しかも国産のゲームが中止となって、失望も非常に大きかった。今回は、読者の方から質問があったこの問題について考えてみる。実際の事情を知っているわけではないので、あくまで外から見た憶測だが。
 調べてみて思ったのだが、これ、相性の悪い組み合わせだったんじゃないか。

 まずはパブリッシャーであるマイクロソフトの言いぶん。


 開発が遅れていたこと、にもかかわらず、他のプロジェクトにスタッフを回したことなど、不信感の原因が記されている。
 アメリカは契約社会である。開発途中のステップも細かく取り決めされており、遅れれば切る、というドライなイメージ通りの結果である。

 さて、一方でデベロッパーのプラチナゲームズ。
 「トランスフォーマー」など、3本のゲームをアクティビジョンから出した実績があり、海外パブリッシャー向けの開発は初めてではない。ではなぜ今回に限って失敗なのか。まず、アクティビジョンのゲームがいずれもキャラクターものでオーソドックスなアクションなのに対し、「スケイルバウンド」はオリジナルの大作である。そして、ディレクターが神谷英樹であることに注目したい。

社長が訊く:「The Wonderful 101」

 神谷英樹というクリエイターを知るにあたって、↑は一級の資料である。その制作タイトルを追うと、苦闘の跡が明らかになる。
 「バイオハザード2」。一年半かけて作ったものを没にする苦しい経験を経て完成。
 「デビルメイクライ」。バイオハザードの新作のつもりだったが、はっちゃけすぎて別のゲームに。
 「ビューティフルジョー」。特徴となる時間操作システムは、開発が進んでから思いついた。(社長が訊く参照)
 「大神」。試行錯誤で開発は長期化。評価の高いゲームだが赤字だったらしい。
 「ベヨネッタ」。プラチナゲームズでの一本目。PS3版が劣化したことを悔やむ。
 「The Wonderful 101」。ぎりぎりまで仕様変更して完成。
 限界まで企画を練り、プロジェクトは破綻寸前にまでなるが、最後には抜きん出たゲームを完成させてきたのが神谷英樹だ。
 任天堂は辛抱強く待ったが、マイクロソフトはそうしなかったというわけだ。

 ゲームの開発は、企画が確定した以降は、量の問題になる。スタッフが手分けして、キャラクターやステージを追加していく。この段階までくればスケジュールは比較的読みやすい。
 問題は企画が確定しない場合で、試行錯誤で手戻りが頻繁に起こる上に、良いか悪いかの判断はディレクターの中にしかない。そして、神谷英樹はこれをぎりぎりまで行うタイプと見る。
 「スケイルバウンド」から、他のプロジェクトにスタッフが回されたということだが、これは単にプラチナゲームズが忙しいからという不誠実な理由とは限らない。企画が確定するまでの間、人数を多く配置しても仕方ない、ということだったのかもしれない。マイクロソフトと神谷英樹の相性はやはり悪そうだ。他のパブリッシャー(できれば国内)の手で、この企画が蘇ると嬉しいのだが。
posted by Dr.K at 20:27| Comment(3) | TrackBack(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「スケイルバウンド」から、他のプロジェクトにスタッフが回された、というのは間違いでは?
http://jp.automaton.am/articles/newsjp/20170110-37608/
こちらのサイトでは膨大な同プロジェクトの仕事量により離れることになったと書いてあります。
あくまでスケイルバウンドの作業量が多すぎてスタッフに限界が来たというのが正しいのでは。
Posted by at 2017年03月21日 11:01
情報源をつけてのコメント、ありがとうございます。
「膨大な同プロジェクトの仕事量により秋頃に1か月ほど仕事から離れることを余儀なくされ」
う〜ん、妙な日本語ですね。健康被害が出たということなのでしょうか。時間があるときに原文にあたってみます。
Posted by Dr.K at 2017年03月21日 17:18
when several senior members of the development team were forced to take a month away from the pressure of the project's heavy workload.
↑過重労働って言ってますね。神谷ディレクターが病んでリタイアしたって噂も、ここから来てるんでしょうね。
Posted by Dr.K at 2017年03月23日 14:56
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