「クロウの帰結」は、「グラビティデイズ2」の追加シナリオ。クロウを操作して、新しいアイデアが盛り込まれた新規ステージを楽しむことができる。しかも無料なのでやらない理由がない。
事前に注目を集めていたのは、そのストーリー。一作目の「グラビティデイズ」で、下層世界の子供たちを方舟に乗せて救出する話があった。ところが、この重要そうなエピソードについて、「2」では全く触れることなく終わっていた。
「クロウの帰結」では、子供たちと方舟の顛末がついに明らかになる、との触れ込みだった。
実際にプレイしてみると、予想とかなり違っていた。確かにそのストーリーを描いてはいる。だが、画面がストーリーを表現していないのだ。
例えば、サチアが記憶をたどっていく場面。背景は抽象化され、思い出すという行為は、青い玉(記憶)を集めるというゲームに置き換えられる。玉をとるたび、簡単なテキストのみで情報が補完されていく。
アニメだったら回想シーンで具体的に見せそうな場面だ。だがこのゲームはそうしない。プレイヤーは目の前のゲーム画面とは別に、説明されるストーリー内容を想像していくことになる。
クロウは、神々に頼まれて、事象の綻びとやらを修正するために、抽象的な空間を奔走する。そんな内容に、決まったビジュアルなどあろうはずがない。結果として、ゲーム内容に関係なく、自在に意味を付与してストーリーを語れるという、創造主もびっくりの荒業が実現した。この物語はこのゲーム性である必要がない。このゲームはこの物語である必要がない。それでも駄作にならないのは、結末に至るクロウの決断が、作風にぴったり一致するからだ。なんともユニークで実験的な追加シナリオだ。