2017年05月06日

モアナと伝説の海

 ディズニーのアニメは、見た目通りの内容ではないことがあるので、気を付けないといけない。癒し系のロボットかと思ったら実はヒーローものだった「ベイマックス」、ほのぼの動物ものかと思ったら意外に社会派だった「ズートピア」。そして「モアナ」もまた、予想と異なる作品である。
 主人公のモアナは、村長の娘。ディズニーで年頃の女性が主人公だと、どうしても恋愛要素がありそうと思ってしまうが、意外や意外。海に出てからは、100%冒険、アクションに振り切った活劇だった。後味もスッキリ、痛快爽快である。
 CG技術も恐ろしく進歩しており、序盤の島の風景などは、キャラがいなかったら実写と見分けがつかないレベル。水と陽光の表現も言うことなし。

 今回、題材となっているのはポリネシアに伝わる神話だ。語り継がれてきた伝承には理屈などない。そのせいか、ディズニーお得意の計算づくのストーリー構成が破綻していて面白い。

(注意:以下にネタバレを含む)

●ウミガメ
 はじめに、幼いモアナがウミガメの子を助けるシーンがある。葉っぱで日陰を作ってあげるのがかわいいが、モアナ自身がウミガメの子を運んであげることはない。これは、後に海がモアナを助けるときの関係性を象徴している。意外だったのが、ウミガメの子がこの場限りのキャラだったこと。浦島太郎のように後で恩返しがあると思い込んでしまう私は、典型的な日本人。

●ミニ・マウイ
 半神マウイには、全身に刺青がある。その刺青がキャラクター化して動き回るとは斬新だ。長い年月、一人で幽閉されていたマウイの幻覚じゃないかなんて説もあるが、いやいや、それじゃ明るくて強いマウイのキャラが台無しでしょ。

●海の力
 モアナは海に選ばれた冒険者なので、マウイに船から放り出されても自動でリスポーンする(笑) しまいには「十戒」のごとく海面が割れたりもする。もとが神話なので、これらの神の助力について、その限界や制限が一切説明されない。

●ヘイヘイ
 序盤、モアナについて回るかわいいブタがおり、こいつが今回のマスコットかと思わせる。ところが、実際に旅についていくのは鶏のヘイヘイだ。意思の疎通もできない変な鶏。こういうキャラが、最後に活躍するんだよね、と思っていたらそうでもなかった。冒険を終えて帰ってきても、特に扱いも変わっていない。神の使いでもなかったようだ。

●カカモラ
 ココナッツの殻をかぶった海賊で、演出がまるで「マッド・マックス」。音楽も一部パクっているように聞こえたが気のせいか? 再登場が絶対あると思ったんだけど、その場限りの登場だったのが意外。また、殻の下にどんな正体が隠れているのか明かされなかった。もとが神話だから、動物が入ってるとかじゃなくて、ココナッツの精霊的な存在だったのだろうか。

●テ・カァ
 大地と炎の悪魔。その姿に、何やら既視感があった。
InBeast.jpg
 そうだ、「インファマス2」のビーストだ! まあ炎の巨人なんて、誰が考えても似たものになるんだろうけど。

 最高の映像と音楽で、理屈抜きにわくわくできる素晴らしい映画だった。感動したり考えさせられたりする要素は少ないけど、たまにはこういうのもいいものだ。

映像美 9
楽曲  9
後味  9
個人的総合 9
posted by Dr.K at 21:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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