恋愛ものは苦手で、女性視点だとさらに苦手。というわけで、観に行くまでにかなりの逡巡があった「美女と野獣」ですが、なんということでしょう、アニメ版より見やすいじゃないですか。
原因は、実写版での作り足し。大筋はアニメ版の通りなのですが、開始早々王子様が登場。野獣になるまでの経緯が映像化されます。おいおい、いきなり正体わかっちゃうじゃん。観客のほとんどが結末を知っているという前提の、大胆な改変となっています。また、中盤では、王子が早くに母を亡くし、冷酷な父王に育てられたという背景が語られます。
総じて、野獣の視点に立った描写が補強されており、ベルが主役ではあるのですが、野獣の側にも自然に感情移入できる筋運びとなっています。魔法で獣にされる、なんて設定はおとぎ話でしかありませんが、過去の過ちにより本来の生き方ができていない、と見れば思い当たる人も多いはず。共感できる人物に仕上がっています。なお、対比的に、ガストンの方はアニメ版よりクズ度がパワーアップしています。
一方、ベルの方もエマ・ワトソンが演じるせいか、乙女というよりは非常に男前なキャラで、好感度が高いです。双方が良い人物なので、ハッピーエンドを素直に喜べるのがいいところ。
ストーリーは知っている上に、前半はゆったり進みますので、ちょっと心配したのですが、後半はしっかり盛り上がるあたりさすがです。
なお、ちょいちょいゲイの出番があるのは、性的マイノリティへの配慮かと思われますが、ギャグ扱いされ過ぎていて、悪目立ちに感じられます。いらんなあ。
CG技術 9
音楽 9
音楽 9
風格 8
個人的総合 7