2017年09月25日

ダンケルク

 ユニークな映画だ。ストーリーらしいストーリーはなく、臨場感たっぷりの戦場を体感させる。題材は異なるが、「ゼロ・グラビティ」と近しいものを感じた。
 その独自性は、視点によるもの。戦場は、陸海空、それぞれの場面から立体的に描写される。陸は、必死に撤退しようとする一人の若い歩兵。海は、救助に向かおうとする一艘の船。空は、わずか3機で敵に立ち向かう戦闘機。彼らの小さな奮闘が克明に描写されるが、戦況の全貌はいつまでも見えてこない。
 このような、かつて実際にあった戦いを描いた作品では、歴史家の視点や指揮官の視点などを用い、戦況や作戦を俯瞰することが多い。わかりやすく解説するためだ。だが、「ダンケルク」はそのような視点を意図的に除いている。結果として、観客は当事者である主人公と同じようなはっきりしない状況に放り込まれ、異様な臨場感を感じることになるのである。
 撤退という危機的状況の中、すぐそこまで迫っているはずの敵はいつまでも姿が見えない。この不気味な閉塞感は体感する価値がある。派手な戦闘シーンもなければ、残虐な演出もない。それでも戦場の描写として成立しているのが面白い。

ストーリー性 2
キャラの区別 2
臨場感 9
個人的総合 7
posted by Dr.K at 23:28| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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