2018年01月05日

ちょっと今から仕事やめてくる

 会社員の隆(工藤阿須加)は、パワハラと過酷な勤務に疲れ果て、駅のホームからふらふらと電車に飛び込もうとする。それを間一髪で助けたのはアロハシャツの青年。彼は同級生のヤマモト(福士蒼汰)と名乗るが、隆には覚えがない。やがてヤマモトが小学生時代の同級生ではないとわかり、隆はその正体を訝しむが…

 この映画、キャスティングが大変良い。工藤阿須加はまじめな若手社員にぴったり。パワハラ部長の吉田鋼太郎と、できる先輩社員の黒木華のせいでブラック企業の様相が真に迫る。そして何より、今まで演技力ではぱっとしない印象だった福士蒼汰が、大阪弁のキャラを快演している。
 底抜けに明るくそれでいて深い洞察力を持ったヤマモトとの交流を通して、隆は狭められていた視野を取り戻し、タイトル通りにブラック企業から解放される。ああよかった。残るは消えたヤマモトの正体だけだ。ところがそこからが冗長。ヤマモト視点からの説明が長ったらしく続く。
 そして現在、ヤマモトがバヌアツで教師をやっているとわかり、隆がそこを訪れてエンドとなる。南の島の映像は一転して現実感がなく、辞めた後どうするんだろう、などと深刻に考えていた観客は肩すかしを食らう。

 原作はこのような結末ではない。では映画は何を意図したのだろうか。
 おそらくこれ、「ショーシャンクの空に」をなぞっているのではないか。ブラック企業は監獄。ヤマモトは行先について手紙で情報を残す。そして、冒頭と結末で繰り返される希望をめぐる問答。最後に南の島の空撮。いずれもが「ショーシャンク」に符合する。名作にあやかった演出を、おこがましいととるか、微笑ましいととるかは難しいところ。希望に満ちたハッピーエンド、と素直に見られれば良いが、ここまで現実離れしないと仕事は辞められないのか、と落胆する人もいそうだ。

キャスティング 8
ミスリード 7
意外性 2
個人的総合 5
posted by Dr.K at 23:25| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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