2018年02月27日

海ノ旅ビト 「ABZÛ」その3

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 では、この壮大で幻想的な冒険を振り返って、背景を探ってみよう。今回はネタバレを含むため、未プレイの方はご注意を。

 いつの時代のどこだかわからない、広い海の真ん中からこのゲームはスタートする。キャラクターの名前すら不明。なので、仮にプレイヤーのことをダイバーと呼ぶことにしよう。

●生命の水
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 ステージ内には、ところどころに光る泉のようなものがあり、ダイバーが触れると、魚が湧き出してあたりを泳ぎ始める。ダイバーは、海を生命で満たしていくという使命を帯びているらしい。

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 各ステージの後半には、暗く生命の姿の見えないエリアがあり、そこから異界へとワープする。塔の中央には何やら球が祀られており、ダイバーは自分の魂(?)を分け与える。

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 すると暗かったエリアは光で満たされ、魚たちが泳ぎ始める。海底にさらに水面が広がるというビジュアルは強いインパクトがある。海底に隠された、生命の源となる水。なんとも神秘的だ。

●海の遺跡
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 道中には石像や神殿など、古代文明を思わせる遺跡がある。遺跡にはエジプト風の壁画が描かれている。人々がサメを信仰したこと。生命の水を自在に活用できたこと。そして、文明を築き機械をも動かしたことなどがわかる。

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 この遺跡は、かつて地上にあった文明が海中に没したものではない。そのことは、ゲーム終盤に訪れる都市でわかる。深海のはずなのに空があり、樹々が生え、鳥が飛んでいる。天国かと思う光景である。ここに住んでいたのは、海底で独自の文明を築いた海底人とでも言うべき存在だ。
 また、このエリアの海中には、絶滅したはずの古代魚が回遊している。生命の水を泳ぐ古代魚…。まるで「崖の上のポニョ」だ。海底人は、グランマンマーレのような人たちなのかもしれない。

●ダイバー
 さて、ゲームのはじめに、ダイバーは小さな機械を発見する。これを掘り出すと、お供についてくる。ダイバーと意思疎通ができているようなので、一種のロボットなのだろう。

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 また、ステージは、この異様な機械仕掛けのゲートで区切られている。ゲートはダイバーを認識すると開く。
 しかし、ゲームが進むとこの機械文明がダイバーの敵として立ちはだかる。「Flowery」の電気塔や、「風ノ旅ビト」の機械ムカデを思い出す。

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 機械の生産施設で、ダイバー自身もまた機械の一つだったということが判明する。そしてすべての機械は、生命の水を核としていた。
 生命の水は、強力であるがゆえに危険である。海底人は、他の文明からそれを隠すため、巨大な施設を作った。三角の機械は防衛兵器であり、ダイバーも一種の警備ロボットだったのだろう。しかし、滅んだのか去ったのかはわからないが、海底人はいなくなった。残された機械だけが防衛を続けた。
 記憶を失ったダイバーと、神とあがめられるサメとが共闘し、生命の水を海へと返した。「ABZÛ」はそういう物語である。

ABZUとはなにか:神話に基づいたきちんとした考察は、こちらが秀逸。
posted by Dr.K at 21:02| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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