2018年03月10日

シェイプ・オブ・ウォーター その1

 祝、アカデミー賞!
 俳優の演技はいいし、映像は作りこまれているし、音楽も最高です。人間と怪物の恋、という内容もロマンチックです。
 でも、よくよく見ると、あちこちにゴロゴロと異物が転がっている。これはとんでもない曲者映画ではないでしょうか。

注:以下にネタバレを含みます

 まず主人公の登場です。オープニングが終わると、イライザが入浴します。裸を隠すどころか、見せつけるようなカメラワークです。
 イライザはしがない掃除のおばちゃんで、いわゆる美女ではないのですが、妙な生々しさがあって印象に残ります。
 なぜこんな見せ方をするのか。
 相手となる半魚人は、野生の存在であり、当然裸です。彼と対等になりうる存在として、序盤からイライザのありのままを見せていこうとしているのではないかと思います。

 次に、敵役となるストリックランド。施設を管理するエリート軍人です。
 なんと、家に帰るといきなりセックスです。このシーンの修正がひどいのですが、そうでなかったとしても、浮いている場面と言えます。ぱりっとしたエリートと、金髪で美人の奥さんが、正常位で交わっている。〈まとも〉なセックスが、嫌悪感をもって描かれている。
 後ほど、イライザと半魚人が水中でのラブシーンを見せますが、〈まとも〉でない行為を美しく描いていることと対比になっているわけです。

 そして半魚人。この物語はイライザと半魚人との恋ということになっていますが、観客にはイライザの気持ちしかわかりません。半魚人は何を考えているのか。
 彼は、音楽に耳を傾けたり、映画に見入ったりと、好奇心旺盛。イライザの手話を真似たりもするので、知性もあるようです。しかし、人間と通じるような心があるとは限らない
 半魚人は、ストリックランドの指を食いちぎる、猫を殺すなど、凶暴です。一方で、イライザに対しては穏やかに接します。敵意には敵意で、好意には好意で返す。人間の感情を鏡のように映す性質が、この怪物にはあるのかもしれません。アマゾンでは神として崇められていた、という過去も、そうすれば暴れないという人間側の知恵のように思われます。

 ストリックランドは、食いちぎられた指をつないでもらいますが、治療は失敗でした。物語が進むうちに、腐ってしまいます。そして、聖書の「2本の柱を引き倒す」話をしながら、自ら2本の指をちぎって捨てる。
 〈まとも〉であることにこだわってきたストリックランドが、人間としての完全な姿を捨て、復讐の鬼と化す象徴的なシーンです。

 エロかったりグロかったりで、目を白黒させる場面が多々。「美女と野獣」のつもりで観に行ったりしたら、えらいことになりますよ(笑)

エロ度 7
グロ度 8
映像美 9
個人的総合 7
posted by Dr.K at 23:57| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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