2018年04月29日

リメンバー・ミー

 事前の期待値はそれほどでもなかったが、やっぱり面白い、作り方がうますぎる。
 いつもながら導入がうまい。今回の舞台はメキシコのお祭り「死者の日」。その飾りである切り紙を使って、さらっと背景説明を済ませてしまう。
 そして題材の扱いがうまい。お祭りをきっかけに、主人公のミゲルが迷い込むのは死後の世界。暗くなったり恐くなったりしそうな題材だが、死者の国では生者より派手に祭りを祝っており、陰気さなどどこにもない。また、死者はすべてガイコツ姿だが、嫌悪感が出ないように巧みにデザインされていて見事だ。
 歌の使い方がうまい。邦題にもなっている「リメンバー・ミー」が、作中では何度か演奏される。同じ歌なのに、演奏のたびに鮮やかにニュアンスが変わる。もちろんこの映画のための新曲なのだが、まるで昔からある名曲のように、多様な表現を受け入れているのがすごい。そういう意味では、日本オリジナルのエンドロール演奏もありかも知れない。
 次に、仕掛けがうまい。ぼけたひいおばあさん、破れた写真、死者の国までついてくるのら犬、すべての伏線には意外性のある答えが用意され、納得感がある。のら犬はなんだかクレイジーでかわいくないが、「モアナと伝説の海」のペットもわけわからん奴だったので、今はこういうのが流行っているのだろうか。
 最後に、まとめ方がうまい。ミゲルはミュージシャンを夢見ているが、一族はご先祖イメルダの教えを守って音楽を禁じている。ここで、猛烈に厳しいおばあちゃんに拒否反応を起こしている感想をいくつか見たが、多分若い人なのだろう。大家族が残っていた昭和の日本だって似たようなものだったのだ。閑話休題。ミゲルは夢をとるか家族をとるかの選択を迫られる。これまでに、あまたのストーリーがこの選択を題材にしてきたが、多くの場合どちらかを捨てねばならなかった。この難題に対して、本作が出した答えはうまいと感心した。
 ただ、ハッピーエンドを貫きたいのはわかるが、悪役を現世でまで貶めるのは、やり過ぎと感じた。ヘクターは別に名声を求めてはいない。家族に受け入れられるだけで十分じゃないか。

映像美 8
吹替え 8
異国情緒 9
個人的総合 9
posted by Dr.K at 22:33| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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