2018年05月03日

パシフィック・リム アップライジング

 スクリーンいっぱいに展開するバトルは迫力満点で、ロボットVS怪獣の新作としては悪くない。しかし、前作のファンにとっては釈然としない続編だ。

 以下、ネタバレと文句ばかりなので注意!

●全体にチャラい
 物語は前作の10年後。怪獣との戦いが終結し、世界は復興に向かい、大企業がメカを量産したりしている。新型のメカはスリムで動きも軽快。パイロットも若い世代に移行した。バトルシーンも昼間になった。これらのせいか、映画全体のトーンが明るく軽く、なんというかチャラい。
 前作では、怪獣の襲撃で世界は滅びかけていた。メカは武骨で動きが鈍かった。パイロットには歴戦をくぐりぬけてきたムサいオッサンが含まれていた。バトルシーンは夜が多かった。全体に重く暗く、シリアスだった。このおかげで、ロボットVS怪獣という子供じみた題材に重しができていたのだが、それを失った今作は対象年齢がぐっと下がった印象をうける。

●登場人物
 マコと両博士は再登場。ところが、前作で感動的な生還を果たしたパイロットのローリーが出てこない。出ないこと自体は別にいいのだが、息子のジェイクが主役だからという理由で、ペントコストばかりが英雄視され、ローリーへの言及がないのには違和感がある。

●ストーリー運びが雑
 前作で〈裂け目〉を閉じ、戦いが終結したので、再び怪獣が出現するには理由が必要だ。その顛末がぐだぐだしている。
 謎の敵イェーガーの出現、無人イェーガーの反乱を経て、ようやくニュートン博士が乗っ取られていることが判明する。そして東京での決戦へ。あっちこっちへ振り回されている印象で、主人公サイドが自分たちの力で真相に近づいている感覚が弱い。
 また、チーム戦をやりたかったというのは分かるが、そのためにはメンバーの団結が必要。そのきっかけがジェイクの演説だけではいかにも弱い。前作は短い時間でうまくキャラを印象付けており、だからこそチェルノαやクリムゾンタイフーンの大破を惜しむ観客が出てくる。ところが今作は、アマーラ以外のキャラが立っておらず、ゆえに戦死しても感情が動かない。バトルの熱さを売りにする作品としては失敗だ。

●ロケーションが雑
 決戦の舞台は東京。他の国の観客は気にしないだろうが、あいにくとこちらは日本人。看板が怪しいとすぐ分かる。一般市民が明らかに中国系で日本に見えない。富士山の火口がマグマを湛えているのは、物語の都合だから許すとしても、山の形も変だし、位置関係も違和感がある。

●中国に媚びすぎ
 中国系の美人女優が出てくる。大企業シャオ産業の社長役である。シャオ産業は、自動操縦のイェーガーを全世界に配備しようとする。そのためパイロットたちは失職の危機にある。てんやわんやあって計画が頓挫、シャオ社長が間違いに気づく。お約束の展開だが、この社長改心してからが凄い。自らコンソールを操ってシステムを回復させるわ、ろくに訓練も受けてなさそうなのに最前線でメカを駆って活躍するわ、ととんでもないスーパーウーマンである。この女優が出資して映画を作ったと聞いても信じるレベル。中国資本でできていることがあからさますぎる。

 いくらでも続きが作れそうな終わり方だったが、やっぱりデル・トロでないと味わいが違い過ぎる。たとえ見た目が汚くても、俺はシャオ社長よりハンニバル・チャウのその後を観たいんだ。

テーマ曲使用頻度 低
コクピット 簡素化
絶体絶命度 4
個人的総合 6
posted by Dr.K at 17:05| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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