2018年05月24日

レディ・プレイヤー 1

 面白いはずなのに、終わってみれば、自分でも不思議なくらい他人事だった。どうしてのれなかったのだろう。

●生ぬるいディストピア
 近未来、人々は荒廃したスラムに暮らし、VRゲーム「オアシス」が最大の娯楽だった。
 ジャンルで言うと、ディストピアSFの一種ということになる。しかしこの未来には危機感が足りない。スラム暮らしにも関わらず、人々は高価そうなVR機器を持ってゲームに興じている。ゲームを題材にした作品にありがちな、「ゲーム内で死んだら現実でも死ぬ」というような設定もない。
 唯一、悪を体現しているのがIOI社による強制労働だが、ゲームでの滞納をゲーム内労働で返済させるというのはある意味グッドアイデアで、悪辣さが足りない。
 「マイノリティ・リポート」や「A.I.」の危機感は凄かった。これらを生み出したスピルバーグ監督なら、もっと突き抜けてほしかったところだ。

●いけてないキャラクター
 「オアシス」内はすべてCG映像で表現される。アバターという形で、他の作品のキャラがそこかしこに出演。大勢のキャラが入り乱れる戦闘シーンなどは大迫力で見ごたえがある。
 しかし、いかんせん主人公とヒロインがいけてない。ディズニーのCGよりぐっとリアル寄りで、アメコミ臭の強いデザインに馴染めなかった。オッサンや爺さんのデザインは平気なのにおかしいなあ。

注:以下にネタバレを含む

●古臭いゲーム攻略
 「オアシス」は未来のVRゲームなので、見た目は最先端。ところが、物語の主題となる宝探しは、恐ろしくクラシックだ。
 レースゲームのステージの解法からして、まるでファミコン時代の裏技みたい。そして最終ステージでは、本当にアタリの古〜いゲームをプレイして裏技を見つけるのが正解なのだ。
 新しいものを観るつもりで来たのに、懐古的な内容なので違和感があったのかもしれない。

●クリエイターの願い
 この宝探しは、「オアシス」の創始者の莫大な遺産が目的。また、ゲームの運営を引き継ぐ権利も得られる。
 実際は、悪役であるIOI社のようなビジネスマンがゲームを引き継ぐ方が、現実的だ。だが、物語では純粋なゲームファンである主人公が宝を勝ち取る。そういう人に後を継いでほしい、という創始者の願いであるわけだが、これはスピルバーグの願いとも受け取れる。ヒットメーカーであるスピルバーグは、その人生の大半をお金の匂いに群がってくるビジネスマンに翻弄されてきたに違いない。なんとも身につまされる。

追記:VRが題材なら3Dで観ねば、ということで久しぶりに3D版を観た。レースステージや「シャイニング」ステージは効果があったが、ストーリーのわかりやすさを重視したのか、全体的に3D効果は控え目に感じた。

映像技術 9
スリル 3
懐古度 10
個人的総合 7
posted by Dr.K at 23:50| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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