2018年08月23日

ペンギン・ハイウェイ

 とても分かりやすい予告編を流している「未来のミライ」に対し、予告編からわけがわからない「ペンギン・ハイウェイ」。見に行ったら、なかなかの掘り出し物で、満足度が高かった。

 物語は小学4年生のアオヤマ君のナレーションで始まる。「僕は大変頭が良いので」とか、「将来偉くなる」とか、「結婚する相手は決めている」とか、なんとも生意気だ。だが、これこそリアルな子供だと感心した。この年頃の子供は、将来なりたいものになれることを全く疑っておらず、全能感に満ち、目標に対してまっすぐに努力できるのだ。

注:以下にネタバレを含む

 子供の頃の夏休みは、本当にこんな感じだった。ペンギンを追ったことはないが、珍しい虫や鳥を追ったことならあるはず。アマゾンプロジェクトのように、近所を探検したことだってもちろんある。「海」に遭遇したことはないが、自由研究が宇宙の秘密につながるような感覚は、子供の頃体験したことがあるはずだ。そして、人は必ず死ぬと知って怖くなったことも。
 お姉さんの描かれ方も見事で、謎に満ち、人間でないように感じるというのがまさに子供の視点そのものだ。
 「海」には影響範囲があり、ペンギンもお姉さんも離れることができなかった。これは、子供の行動範囲の限界を示している。
 以上のように、「ペンギン・ハイウェイ」では、子供時代の夏休みを巧みにフィクション化しており、ありえない事件が起きているにも関わらず、いつか体験したような感覚を伝えることに成功している。

 事件が終わっても、「海」は何だかわからず、お姉さんも謎のままである。だからこそ、アオヤマ少年の探求は今後も続く。宇多田ヒカルの歌はちょっとセンチメンタルに過ぎるが、余韻のあるいい結末だと思う。

子供らしさ 10
季節感 9
清涼感 9
個人的総合 7

他の方の注目すべき批評
忍之閻魔帳:お薦めされたので行きました。
アニメとスピーカーと…:多様な角度からの分析
posted by Dr.K at 19:47| Comment(2) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 『アニメとスピーカーと…』にリンクいただきありがとうございます。投稿読ませていただきました。
 海を『子供の行動範囲の限界を示している』という考えはすごく面白いと思いました。それ以上先は謎の世界という子供の感覚。アオヤマ君のお父さんが言う巾着袋の説明とも符合する気がしますね。
Posted by kato_19 at 2018年08月24日 17:42
コメントありがとうございます。
アオヤマ君のお父さん、あまりにも理想の父親像です(笑) 中盤では巾着理論を説明してくれましたが、最後にまとめの説明などしないところが粋ですよね。
Posted by Dr.K at 2018年08月24日 23:33
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