2019年07月28日

家へ帰ろう

 外国のご老人はどうしてこうも味があるんでしょうか。

 アブラハムは、アルゼンチンに暮らすおじいさん。どうやら老人ホームに預けられるらしく、娘たちが家の片づけをしています。そこで見つかった一着のスーツ。アブラハムは、70年前の友人との約束を思い出し、家族に内緒で故国ポーランドへ向けて一人旅立ちます。
 かつてユダヤ人として迫害を受けたアブラハムにとって、故郷は恐ろしく、忌まわしい思い出とともにあります。旅の途中で出会った人々が、その思いを少しずつ解きほぐしていく様子が心に染み入ります。
 そしてついにたどりついた、かつての家。アブラハムは友と会うことができるのでしょうか。

注:以下、物語の結末に触れています

 多分会えるだろう、と予想していたのに、友人が出た瞬間に私は泣いてしまいました。
 アブラハムと同じくらいの歳に見える、くたびれたおじいさんが、ミシンの準備をして仕事にかかろうとします。空白の70年は全く描かれていないにもかかわらず、そのたたずまいは長年の経験と苦労を雄弁に語っています。
 この映画では、途中で何度か回想シーンが挟まり、若いアブラハムとその友人の姿を見ることができます。しかし70年経って、友人の姿は変わり果てています。メガネをかけていることくらいしか共通点がない。
 それなのに、出た瞬間にこの人で間違いない、とアブラハムより先に観客が感じるのです。これを名演と言わずして何というのでしょう。なぜわざわざ原題と異なる邦題が付いているのかも、このとき明らかになります。

 これが面白かった人には、同じ題材で全く違う味わいとなった、「手紙は憶えている」もおすすめです。

演技力 10
抑制度 8
結末 10
個人的総合 8
posted by Dr.K at 19:44| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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