2019年07月30日

バジュランギおじさんと、小さな迷子

 館長の今年一番のお勧め、とのことで観てきたが、確かにすごかった!

 物語はパキスタンの山奥から始まる。幼いシャーヒダーは、遊んでいて斜面を転げ、崖から落ちてしまう。え、そんな乱暴な理由で迷子になるの? と一瞬驚くがこれはフェイント。実際には、インドへ願掛けの旅行に行き、母とはぐれてしまうことになる。
 迷子のシャーヒダーは、祭りの中でバジュランギと出会う。主人公の初登場となるこのシーンは、インド映画らしい大群舞。堂々たる歌と踊りに、どれだけの大人物なのかと思うが、実はただの人だ(笑) そもそもこの歌は、伝統的な祭りの歌でも何でもなく、バジュランギが自己紹介をし、自撮りをしよう、と呼びかけるだけのしょうもない内容。振り付けに自撮りが組み込まれており、伝統と新しいものとがごたまぜになっている。
 バジュランギは彼女がどこの子か突き止めようとするが、彼女が口もきけず、字も読めないために手掛かりが得られない。表情とジェスチャーだけで語る彼女の愛らしさは、そりゃ助けたくなるよなあ、と物語の動機に強い説得力を与えている。
 バジュランギは馬鹿正直な人物で、そのせいでコメディシーンになるかと思えば、突然ヒーローになり、観客を感動させもする。幼い迷子を親にとどける物語なんて、日本だったら単館系の文芸作品にしかなるまい。ところがこれは、彼一人の行動が国家の歴史的な対立関係を変化させていく。そんな展開に現実味がないと言われればそれまでだが、娯楽というのは本来、そうした大きな理想を語るべきものだったのではないか。

 インドでの映画は、娯楽の王様。長い上映時間の中で、笑いも涙もアクションもすべてを飲み込んで一つの物語を成立させる。それを証明する一本として、これほどふさわしいものはないだろう。

主役の若々しさ 10
娘役の演技力 10
スケールの大きさ 9
個人的総合 9
posted by Dr.K at 23:09| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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