鑑賞後に、パンフレットのあらすじを読んだら、本編を観たはずなのに知らないことがたくさん書いてある。EP8の結末から、今作の始まりまでが説明されているようだ。「ヱヴァQ」みたいな事やりやがって。映画だけで伝わらないことが多すぎる。
三部作は計画的に。
一番言いたいことはこれ。EP8に賛否があったのは知っているが、だからといって強引に軌道修正し過ぎである。
EP8でスノークが亡き者にされたが、代わりのボス敵として何の予兆もなくパルパティーンが復活。追い詰められ、壊滅状態のはずのレジスタンスは、何の説明もなくメンバーを募って勢力を戻している。EP8で新登場のローズは、階級が上がる代わりに出番がなくなった。野心あるハックス将軍は、小者の本性を暴かれるやあっさり殺される。カイロ・レンは、捨てたはずのマスクをわざわざ修理。誰でもない、と言われたレイの素性は、やはり特別な血筋だった。そして、EP8でライトセイバーを捨てたルークは、霊体になってまでレイのライトセイバーを拾い、「ジェダイの武器に敬意を払え」と叱る。お前が言うな。
ビジュアルの作りも言い訳がましい。シリーズ過去作が手を付けていない場面を見せようとして、ストーリーが後回しになっている。シスの大艦隊は、過去最大の戦力だが、あまり動きがないので思ったほどの迫力がない。そもそも、都合よく未知の宙域があって、シスが集結しているなんて、ファーストオーダーもレジスタンスも迂闊すぎだろう。デス・スターの残骸というロケーションは素晴らしいが、そんな重要そうな場所が未調査というのも疑問。レイとレンの戦いの舞台も、EP3でオビ・ワンとアナキンが溶岩を背景に戦ったので、今度は津波をバックにバトルだ、という発想だろうか。
旧作に比べ、この三部作では人間関係が希薄なのが気になる。単独行動が多いのだ。戦いが終わり、レイ、フィン、ポーが互いの無事を祝うシーンがあるが、十分な関係が築けておらず感動しない。ポーは、わがままなエースパイロットから思慮深いリーダーへと成長中だが、まだレイアの後を託されるほどの器ではない。フィンは敵に詳しいので潜入ミッションが多いが、そのたびに相棒が代わるモテ男に成り下がっている。ダース・ベイダーに並ぶことを期待されたカイロ・レンは、悪の道も剣技も極めることなく、中途半端に終わった。
孤独に始まり、孤独に終わるレイを見るにつけ、ハン・ソロの偉大さが浮き彫りになる。ルークにとって、国もジェダイも関係なく付き合ってくれるこの友がいかに大事だったか。ランドの再登場も遅すぎた、ハン・ソロとの掛け合いがないのは寂しすぎる。
40余年を経てシリーズを締めくくったので感慨はあるが、この三部作に限るとだいぶがっかり。いっそのことファースト・オーダーとレジスタンスが共闘してシスを倒すくらいのことをやってほしかった。冒険しないスター・ウォーズなんて誰が観たいんだ。
意外性 2
懐古度 8
前作否定度 9
個人的総合 6


この手のシリーズ作の宿命なのかもしれません(スターウォーズのほかに、たとえばターミネーターなども…)
また、明らかに「エライ人の大いなる力」が働いたであろう突然の軌道修正は…考えただけで胃が痛くなります
EP8の監督でやるらしいですね。どうなることやら。