2020年02月11日

ジョジョ・ラビット

 第二次大戦末期のドイツ。ジョジョは、ナチスに心酔する10歳の少年。友達も少なく気弱なジョジョを、想像のヒトラーが励ます。ある日、自宅の隠し部屋にユダヤ人の少女エルサが匿われていることを知ったジョジョは、彼女を追い出そうとするも、協力者としてジョジョも母も死刑になる、と逆に脅されてしまう。

●ジョジョがカワイイ
 主演の子役がとにかくかわいい。だからこそ、「ハイル・ヒットラー!」を叫びながら無邪気に走る姿に戦争の異常さを感じる。そこに流れるビートルズの軽快な曲、どんな顔をして見ればいいのか困惑する組み合わせだ。
 10歳の視点から見た世界では、ヒトラーユーゲントの合宿も、林間学校のような陽気さ。教官のキャプテンKは、開口一番「戦争は敗色濃厚」と言ってしまうやさぐれ将校で、曲撃ちを披露してノリノリだ。ミス・ラームも明るく焚書の号令をかける。アカデミー賞脚色賞は伊達じゃない。戦争ものにこんな切り口があったのか、と驚いた。

●ヒトラーがカワイイ
 本物は恐ろしい独裁者だが、ここで登場するヒトラーは10歳の子供の想像に過ぎない。賢いところが全くなく、コミカルそのもの。こんな役を監督が自ら演じているのだから恐れ入る。ジョジョが信じている間は、ヒトラーらしく強くふるまうが、エルサとの交流を経て、ジョジョの信心が揺れるとトーンダウン。「小さくでいいから敬礼して」と懇願する姿はキュートですらあった。

●戦争は変わらない
 あくまで見え方が違っているだけで、残酷な現実は容赦なく襲ってくる。ついに市街戦が始まり、ジョジョは死地をさ迷う。この戦闘シーンが異様である。ここまでの愛すべき登場人物がそれぞれに戦い、消えていく。キャプテンKは、自分が考えたバカバカしい衣装で戦う。先に、シェパード(猟犬)を集めてこいと言われた部下が、羊飼いのお爺さんを集めてしまう、というギャグがあったのだが、そのお爺さん達も武器を取り戦っている。ミス・ラームは重火器で突撃する。絶望的な戦いが、祭りのように演出されている。

●エルサがカワイイ
 エルサは賢い少女だ。ジョジョがユダヤ人の弱点を聞くと、すかさず食べ物を挙げる。海外にも「饅頭怖い」があるのかと笑ってしまう。ナチス受け売りの偏見にも冷静に対応。ジョジョが婚約者のふりをして書いた偽の手紙に、つきあってあげる優しさもいい。
 ラストシーンの二人の表情は最高だ。色々なものを失ったが、戦争は終わった。子供たちよ、歌って踊れ。

タイカ・ワイティティ 8
サム・ロックウェル 9
スカーレット・ヨハンソン 10
個人的総合 8
posted by Dr.K at 23:53| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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